除染とは移染である

除染技術の開発を目的にした復興庁・環境省による除染技術実証事業では、効果が認められた62件のうち、実際に現場で使用された技術はわずか4件し かなかった。約14億円もの税金を使いながら、一向に進まない除染技術の実用化や、除染により生じた核のゴミ、及び原発からの放射性廃棄物の処分場の問題 について、京都大学原子炉実験所の小出裕章さんに聞いた。(ラジオフォーラム

京都大学原子炉実験所・助教の小出裕章さん

京都大学原子炉実験所・助教の小出裕章さん

◇除染技術では放射能を消すことはできない

ラジオフォーラム(以下R):実用実績のある4件の技術には、水を使わない壁面の除染であるとか、超高圧の水や 薬品で洗浄効果を高める技術などがあり、その他にも、開発した事業者が自ら除染作業で使用した例もあるそうですが、どれも技術的にはあまり普及していませ ん。根本的には技術で解決できる問題ではないということだと思うのですが、いかがでしょう。

小出:国や東電の側から見て、これなら使えそうだなと思えるものはあるのでしょう。水を使わない壁面除染です が、壁面などというものは環境のうちのほんのわずかな部分に過ぎません。ほとんどは道路であったり、畑であったり、田んぼであったり、森林であったりする わけですから、結局、そんな技術は役に立たないということなのです。

皆さん、ご自分の周りを見てください。環境というものはとても複雑なのです。例えば、機械を使って表土をはぎ取りたい。平らな所ならば何がしかの技 術を開発できるかもしれませんが、山ではどうしたらいいのかとなってしまいます。結局、機械ではできない、人間でやるしかないということになり、いくら開 発したところで実際には効果的でもないし、お金もかかりすぎるし、役に立たないという状態になってしまっています。

要するに、どんなことをやっても放射能は消せませんので、とにかくどこかに移す、移す場所を確保するということが一番のネックだと思います。

R:そもそも小出さんは「除染は移染だ」とおっしゃっていますよね。つまり、除染とは放射性物質をAというところからBという場所に移すだけであり、総量としては減るわけではない、ということですね。

小出:はい。今、国などがやろうとしている除染も含め、人間は放射能を消すことはできないのです。ですから、できることはどこかからどこかに放射能を移動させるということだけですが、最大の問題は移動先がないということです。