鴨緑江の中国側に張られた鉄条網。

鴨緑江の中国側に張られた鉄条網。

 

覚せい剤密輸続く

中国側の長白県の警備はどうか? 鴨緑江沿いの鉄条網は、すでに数年前に設置が済んでいる。
「今、中国の公安当局が最も警戒しているのは脱北よりも、朝鮮から密輸されてくる麻薬だ」
長白県在住の朝鮮族が言う。その理由について彼は次のように説明した。

「かつてはもう一本の国境河川・豆満江沿線で脱北・麻薬密輸が盛んであったが、北朝鮮当局による密輸や脱北取締りが非常に厳しくなった上、中国側の 鉄条網設置が昨年完工し、豆満江側の越境や密輸は壊滅状態になっている。そのため、川幅が狭く『穴』が見つけやすい鴨緑江上流に、朝鮮、中国両方の麻薬密 輸業者が集中するようになったのだ。最近は、長白県と外部を結ぶ道路は検問が頻繁だが、脱北者より麻薬が目的だ」。

扱われるのはほとんどが「氷毒」と呼ばれている覚せい剤である。朝鮮語では「オルム」と呼ばれる。

長白県のある商店に公安によって掲げられた標語。「麻薬を拒否し麻薬取締に関わろう」とある。

長白県のある商店に公安によって掲げられた標語。「麻薬を拒否し麻薬取締に関わろう」とある。

 

荒れ果てた山

1990年代の深刻な食糧難を経て、北朝鮮の山々は禿げ山に変わり始めた。食糧配給制度が破綻した後、住民たちは薪を得るために木を切り、食べるた めに山を開墾して畑を傾斜地に作った。当局は山林保護と植林を政策として訴えてきたが、効果が発揮できていないことは今回撮影の写真を見れば明らかであ る。北朝鮮の住民は、今も山の木を剥いで、燃料の薪や食料を得るしかない人が多勢いるのである。

恵山市郊外。道路脇の若干の街路樹を以外に木が見えない。山は小さな畑で覆われていた。

恵山市郊外。道路脇の若干の街路樹を以外に木が見えない。山は小さな畑で覆われていた。

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