小出:例えば、京都大学実験所の原子炉というのは米国が造った原子炉なのです。日本が自分で造れたわけではなく て、米国が造ってくれた。そして、燃料も米国がくれました。その燃料は、例えば京大の原子炉の場合には 93パーセント濃縮ウランというウランを使っていまして、原爆材料そのものなのです。

それは、もうこれ以上原子炉の中では燃やせないという状態になっても、なおかつ、核分裂性のウランが70パーセントぐらい燃料の中に存在しているの で、もし、原爆を造ろうとすればできてしまうというウランなのです。だから、米国としては、たとえ使用済み燃料であっても、そんな危険な物を日本には置い ておくわけにはいかないから、とにかく返せという契約だったのです。

ところが、途中で米国は、燃料を提供すること自体の危険性に気が付きまして、もう海外には93パーセント高濃縮ウランを提供しないことにしました。 そのため、京都大学原子炉実験所もそれまで使っていた燃料が全て尽きてしまったという状態に、十数年前に陥ってしまったのです。ですから、もう米国として は、その危険なウランを外国に出していないわけですから、引き取る義務もないし理由もないということで、引き取りを拒否するということになってきているわ けです。

R:なんだかものすごくアメリカという国の政策に左右されながら、日本の原子力というのが進んできたという感じがしますね。

小出:おっしゃる通りです。原子力発電所の原子炉もそうですし、研究用の原子炉も全て日本というこの国では、米国におぶさってきたという歴史です。

R:そうですね。そうして私たちが突然、大量に残されていく放射性廃物を目の当たりにして、どう引き受けて処理したらいいのかという問題が、今後突きつけられていくというのが実情なのですね。

小出:そうです。いずれにしても研究炉であれ、これから長い年月動かすことはできませんし、原子力発電所にし たって、どちらにしてもウランは枯渇してしまって、数十年の後にはもう動かなくなるわけです。けれども、その後には膨大な放射能のゴミが残されてしまっ て、そのゴミのお守りを何百年、何千年、あるいは何十万年と引き受けなければならないということになるのです。

原発の燃料となるウランは数十年後には枯渇する。わずか数十年しか続けられない原子力発電のために、我々は数千年、数十万年先の人類までをも苦しめ る放射性廃物をせっせと生み出していることになる。きっと多くの人が、原発が人類にとって「割に合わない」ものだと気付き始めている。その一方で、石油や 天然ガスを輸入するよりは「安くつくから」と原発の経済性を唱える人々が数多いる。人類の遥かな未来より、自分だけの明るい明日をイメージする方が簡単 だ。
※小出さんの音声をラジオフォーラムでお聞きになれます。

「小出裕章さんに聞く 原発問題」まとめ