放射性物質の中には、その放射能が弱まり、安全な物質に変化するまでに何万年、何十万年という時間を要するものも少なくない。そうした中、汚染地帯に住む ことを余儀なくされている人々は、少しでも生活環境を良くするために、目に見えず、臭いも発しない敵に日々立ち向かっている。その苦労はどれほど報われる ものなのか。人々が普通に暮らせる日は訪れるのか。京都大学原子炉実験所・助教の小出裕章さんに聞いた。(ラジオフォーラム)

ラジオフォーラムの収録で語る小出裕章さん

ラジオフォーラムの収録で語る小出裕章さん

◆わずか750グラム

ラジオフォーラム(以下R):今日は「放射能は無くならないのか」をテーマにお送りしてゆきます。小出さん、本当に放射能を消すことはできないのでしょうか?

小出:はい。科学的に厳密な議論をするととても難しいのですが、現在、現実的には無くすことはできません。例え ば、福島第一原子力発電所の周辺で、除染という作業を皆さん苦労してやっています。その除染というのは汚れを除くと書くわけですが、残念ながら汚れの正体 は放射能ですし、その放射能を消せているわけではないのです。除染作業というのをやっていますが、それは単にある場所にある汚染を別の場所に移していると いうことであって、放射能自体を消しているわけではありません。

R:小出さんは「移染」とよく言っていますよね。

小出:残念なのですが、それしかできないのです。

R:放射能は臭いもないし目にも見えないので、何となくもう4年近く経ったら薄まっているのではないかというのは、幻想にすぎないということですね。

小出:残念ながら事故は起きてしまったわけで、核分裂生成物という放射性物質で東北地方と関東地方の広大な地域 がすでに汚染されてしまいました。例えば、その汚染の面積をひとつの比較で言いますと、日本の法令に従えば、約1万4千平方キロメートルという地域が放射 線管理区域という区域に指定されなければいけません。

その区域では、普通の人は立ち入ることすら許されない。私のようなごく特殊な人間が仕事のために入ったとしても、水すら飲めない、食べ物も食べられない、排泄すらできないというそういう場所なのです。それが1万4千平方キロメートルも広がっているのです。

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※小出さんの音声をラジオフォーラムでお聞きになれます。

「小出裕章さんに聞く 原発問題」まとめ