橋下市長の説明の後、挙手して質問しようとする男性 4月18日生野区民センター 撮影栗原佳子

橋下市長の説明の後、挙手して質問しようとする男性 4月18日生野区民センター 撮影栗原佳子

◇ 「質問させろ」怒号

終了時間は午後4時だが、3時45分に過ぎても「橋下節」は止まらない。
説明会が始まった当初は40分程度質疑の時間があったと聞く。
「質問させろや!」
怒号が飛び交い、場内が騒然とした。

4人目、最後にマイクが回った男性はこんな趣旨の質問をした。
「知り合いに東京の某区の課長さんがいる。逆に、市に戻りたいと言っているが、どう思うか」。質問が終わると意外にも大きな拍手が起きた。特別区は、村よりも権限がないといわれる。懸念を持つ市民は少なくないのだろう。

だが、橋下市長は動じず、そこで時間切れ。質問者に送られた何倍もの大きな拍手が沸き起こる中、橋下市長は満面の笑みを浮かべ、会場に手を振りながら去っていった。

唖然としてその姿を見送っていると「これは洗脳説明会か。ふざけるな」と大きな怒声がした。振り返ると、男性が職員たちに食ってかかっている。46 歳のタクシー運転手だという。モノを言う橋下市長の応援団を自認していたが、「だんだん、おかしいと思うようになった」と憤慨している。

この説明会は、特別区設置を定めた法律に基づいて行われている。関係首長には、協定書をわかりやすく説明する義務があるのだという。だが、後味の悪さばかりが残った。

配られたパンフレットの表紙をめくると「二重行政の無駄をなくして医療、福祉、教育の充実と大阪の発展を」などという橋下市長の自論が見開きで展開 されている。市解体の設計図=バラ色の未来なのか。一方で自民、民主、共産、住民投票に賛成した公明も含め、維新以外の各会派が協定書に反対していること などは記されていない。
◇ 都になれないのに「大阪都」を連発

わずか1枚とはいえ、前述したように、反対意見を記した紙もパンフレットと一緒に配られてはいる。しかし、橋下市長は、そこにある内容も「誤認で す」などと否定していった。しかも反対派をばっさり。「都構想」反対を打ち出した大阪市内の自治組織「市地域振興会」のことはよほど腹に据えかねたのか、 ここでも批判していた。

「大阪都」という呼称が繰り返し使われていたことも違和感があった。住民投票で賛成が多数になったとしても「都」にはならないが、「都構想」という 言葉のイメージから、いまも勘違いしている人は少なくないはずだ。橋下市長も「法律の改正が必要ですが」とさらりと触れたが、それでは不十分だろう。

この生野での説明会の2日前、維新以外の4会派が「橋下市長の発言は中立性に欠ける」などとして市に改善を申し入れていた。しかしそれを意に介したふうはなかった。

住民投票は大阪市の将来を決するだけにとどまらない。改憲を問う国民投票の「予行練習」だと総理自らが発言している。投票率に関係なく、1票でも多いほうが勝利する。投開票まで1カ月を切った。しっかり見極めたい。