震災から4年が過ぎた今も多くの課題に直面している福島第一原発。目下、最重要な取り組みとは何か、京都大学原子炉実験所OBの小出裕章さんに聞いた。(ラジオフォーラム

京都大学原子炉実験所・助教の小出裕章さん

京都大学原子炉実験所・助教の小出裕章さん

◆ とにかく汚染水の流出を止めろ
ラジオフォーラム(以下R):福島第一原発事故の収束作業には、燃料棒の取り出し、汚染水対策、労働者の確保、移染作業、放射性廃棄物の処理など、実に多くの課題が山積しています。これらの問題に対して、どういう優先順位で取り組んでゆくべきだと思われますか?
小出:まずは、放射能汚染水の問題です。放射能で汚れた汚染水というものが原子炉建屋の中、タービン建屋の地下、トレンチ、ピット、縦坑というような地下のトンネル構造物などに溢れており、あちこちから地下に染み出してしまっています。福島第一原子力発電所の敷地の中、全体が放射能の沼のような状態になってしまっていて、汚染が毎日、どんどん海に向かって流れ出ていっているわけです。それをとにかく何とかくい止めなければいけないということが、まずは緊急の課題だと思います。

◆ 空冷も選択肢の一つ

R:汚染水対策としてどのような取り組みが行われているのでしょう。
小出:やらなければいけないことはいくつもあります。例えば、これまでは熔け落ちた炉心の冷却のために、4年間ひたすら水をかけ続けてきたわけですけれども、私はもう2年ぐらい前から、「もうこれ以上、水をかけるという作業はやめなければいけない」と、発言をしてきました。

R:ずっとおっしゃってきましたよね。
小出:はい。金属で冷やす、あるいは最近では、もう空冷もできると私は思いますので、水をかけて汚染水を増やすということ自体をまず止めることが必要だと思います。

◆ 凍土壁ではない遮水壁を

そしてもうひとつは、壊れた原子炉建屋の中に地下水がどんどん流れ込んできていますので、それをくい止めなければいけません。それについては、私は2011年5月から「原子炉建屋周辺に地下の遮水ダムを造らなければいけない」と発言を続けてきていますが、それすらまだなされないまま放置されてきています。

最近になって、国と東京電力は、やはり遮水壁は必要だということに気が付いたわけですが、そうして造ろうとしている遮水壁は凍土壁というものなのです。土を凍らせて、凍らせた土で壁を造るというような計画を立てています。しかし、その壁というのは、深さが30メートル、長さが1.4キロにも及ぶものなのです。そんな壁を造った経験はありませんし、四六時中凍らせておかなければ壁が崩れてしまうものですから、長い年月維持できる道理もありません。恐らくその壁はできないだろうと私は思っています。やはり、もっときちんと計画を立てて、凍土壁ではないきちんとした遮水壁を一刻も早く造らなければいけないと思います。