九州電力・川内原子力発電所が再稼働に向けての準備を着々と進めている。早ければ7月にも再稼働と噂されているが、事故が起きた時の避難経路や火山の問題など解決されていない課題が多い。その中でも、放射性廃物、いわゆる「核のゴミ」の問題は解決の見通しすら立っていない。この問題を京都大学原子炉実験所OBの小出裕章さんに聞いた。(ラジオフォーラム)

ラジオフォーラムの収録で語る小出裕章さん

ラジオフォーラムの収録で語る小出裕章さん

◆ 100万年の監視が必要

ラジオフォーラム(以下R):経済産業省は核のゴミを地中に埋めても、将来掘り起こすことができるようにすると言っていますが、これは一体どういうことを意味しているのでしょうか。

小出:核のゴミというのは人間の手で消せないのですね。だから、仕方がないので私たちの生活環境から隔離しようということになっているわけです。そのため、深さ300メートルあるいは1000メートルのような穴を掘って、地底に埋めてしまおうというのが現在、日本の国の計画なのです。

しかし、埋めてしまってから、その毒性が消えるまで、一体何年間その場所にじっとしていてくれればいいのかと言うと、100万年という時間なのです。そんなものは、現在の科学で保証できる道理がないわけであって、本当は埋めるなどということは、やってはいけないことなのです。

私も国と長年そういう喧嘩を続けてきたわけですけれども、彼らとしても100万年はやはり保証できないだろうということで、上手くいかないとなったら、すぐ掘り出せるようにしておかなければいけない、というか、そうしないと住民を説得できないと彼ら自身が思い始めたのだと思います。

R:核のゴミの保管場所をどこにするかという選定は難しいと思うのですが、国は今後どのように選定作業を進めるのでしょうか。

小出:日本全国には17ヶ所、原子力発電所が建てられてしまったわけですけれども、建てられた所というのは、地域の経済が崩壊してもうどうにもならなくなってしまった自治体であり、そのような困窮した自治体が原子力発電所を受け入れてきたというのが、原子力の歴史でした。でも、この核のゴミだけは、どこも受け入れ手がないということで長年、探してきたのです。調査さえさせてくれるならば、10億円あるいは20億円やるから、とにかく手を挙げてくれということをやってきたのですが、このゴミに関する限りはどこも引き受け手がないという状態が、今日まで続いてきてしまいました。

R:世界には、いわゆる核のゴミの最終処分場が決まっている国はあるのですか。

小出:基本的にはないと思って下さい。一応、フィンランドとスウェーデンで立地が決まったということになっていますけれども、本当にこれから上手くいくのかどうかは不透明です。

R:とすると、とりあえず世界中で核のゴミが宙に浮いていると言ったらいいでしょうか。

小出:そうです。もともとは、核のゴミをいつか消せるだろう、科学が何とかしてくれるだろうという期待の下に、原子力発電というものを進めてきたのですが、70年もの間、核のゴミを消そうという研究を続けてきたにもかかわらず、やはり消せない。そうなると、どこかに隔離するしかないということは、もう世界中が覚悟はしているわけですが、その隔離する場所がないということで、どこも決定的な作業が始まっていないということなのです。

R:もうすでに生み出された核のゴミが多くあり、その行き場が決まらないのであれば、これ以上、核のゴミを出してはならない、増やしてはならないと素直に思ってしまいますが。

小出:私も素直に思います。自分で始末を付けるやり方も分からないようなゴミは、まずは生まないということにしなければいけないのですが、原子力を進めてきた人たちは、いつか何とかなるさと思い続けて、ここまで来てしまったのです。