昇降口で客の切符と荷物の量をチェックする女性乗務員。駅員や乗務員は、旅客の不正乗車や規定外の荷物搬入などを許容する代わりに、賄賂を貰ってお金を稼いでいる。 2013年10月恵山駅 リ・フン撮影(アジアプレス)

昇降口で客の切符と荷物の量をチェックする女性乗務員。駅員や乗務員は、旅客の不正乗車や規定外の荷物搬入などを許容する代わりに、賄賂を貰ってお金を稼いでいる。 2013年10月恵山駅 リ・フン撮影(アジアプレス)

 

北朝鮮の鉄道は、言うまでもなく国営であるが、いまや北朝鮮では数少なくなってしまった社会主義原則で稼働している企業所である。他の大企業所の大部分は、稼働を停止したり、規模を大幅に縮小してしまっている。

北朝鮮政府は何の統計も公表していないが、鉄道の運営は大赤字が続いているはずだ。列車を動かすには当然エネルギーが必要だ。北朝鮮の鉄道は電化さ れているが、使用される電力の費用を計画経済の国定価格の運賃だけで賄えるはずがない。国家からの補てんが必要だ。しかし国には十分な財政がない。そのた め鉄道は遅延、運行中止など、運航の麻痺が常態化している。

では、鉄道という大企業所で働く労働者はどのような待遇を受けているのだろうか?
アジアプレスの北朝鮮内部のパートナーが7月下旬、鉄道労働者に直接取材した。報告によると、鉄道労働者は職能や職場によって2級から7級までの級数に区分され、級数によって月給が異なる。

取材した鉄道労働者は給与体系について次のように述べた。
「一番下の2級は1080ウォン、3級は1180ウォン、4級は技能工で約1300ウォン、5級は約1450ウォン、6級は高級技能工で約1700ウォン だ。7級の場合は鉄道省の試験を受けなければならないのだが、それでも1900ウォン程度だ。普通の作業班では責任者でも5級で、7級はいない」

ちなみに、朝鮮ウォンの1000ウォンは、実勢レートで0.12米ドル。つまり2級労働者の国定の月給はその程度にしかならないし、最上級の7級でも、0.23米ドル程なのである。

「その給料も軍隊支援だ、なんだと差し引かれるといくらも残らない。コメ1キロにもならない。我々は月給が出れば、主牌(トランプ)でかけ遊びして終わりだ」

取材した鉄道労働者はこのように述べた。
ちなみに、7月現在の白米1キロの市場での価格は約5000ウォンである。
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