安全保障関連法案に賛成した議員について、政治資金収支報告書などを徹底的に調査して問題を洗い出す弁護士の取り組みが関西を中心に始まっているが、近く 特定の議員について刑事告発を視野に入れた活動を本格化させる。現在、全国の弁護士が連携して準備を進めているが、そこに新たに憲法学者も加わることにな り、関係者はさらに活動が広がると期待している。(アイ・アジア編集部)

現在、調査中の政治資金収支報告書 撮影 鈴木祐太

現在、調査中の政治資金収支報告書 撮影 鈴木祐太

11月4日、「安保法制」に賛成した国会議員に対する落選運動の支援活動を始めた弁護士、公認会計士が大阪市内の会議室に集まり、これまでに集まった政治 資金収支報告書の調査結果を報告した。その中に、明らかに問題のある議員の資料が見つかり、今後、さらに調査を進めることを確認した。
この会合には、憲法学者の上脇博之教授(神戸学院大学)も参加。上脇教授は、「政治資金問題追及についての法的な側面での支援ももちろんだが、問題の本質が安保法制という明らかに憲法違反の法制にある以上、率先して憲法研究者が参加したい」と話した。

上脇教授によると、憲法学者の中にもこの取り組みがすでに広がっているという。上脇教授は、憲法学者以外の学者も含めて広く研究者に広げる意向だ。 このため、取り組みの名称は、「安保関連法賛成議員の落選運動を支援する弁護士・研究者の会」(略称「落選運動を支援する会」)と決まった。

この取り組みは、今年9月19日に成立した安全保障関連の2法について、「日本国憲法の平和主義を直接に蹂躙するだけでなく、立憲主義や民主主義を も破壊する立法」と批判した弁護士の有志が立ち上げたもので、民主主義を正常な状態に戻すためには、次の選挙で自民党と公明党ら安保関連法案に賛成した議 員を落選させる必要があるとして、現在、来年に予定されている参議院選挙で改選を迎える自民党、公明党らの議員の政治資金収支報告書を調査・分析する取り 組みが進められている。

神戸学院大の上脇教授 撮影 鈴木祐太

神戸学院大の上脇教授 撮影 鈴木祐太

上脇教授は、会を立ち上げた阪口徳雄弁護士とともに、市民グループ「政治資金オンブズマン」の共同代表を務める政治資金調査のエキスパート。
上脇教授は次のように話している。
「私たち以外にも落選運動を呼びかける研究者はいますが、それは一般的・抽象的なもののようだ。私たちの活動は具体的なもので、ホームページに落選させた い議員の氏名や政治資金問題を掲載して周知し、全国各選挙区の落選運動を支援するもの。しかし、特定の候補者を当選させるための活動は一切行わないので、 選挙運動ではない。だから、選挙期間に入る前の選挙運動(事前運動)を禁止している公職選挙法の下でも、まったく自由に行える政治活動となる。今月中には 具体的な結果を出したいと考えている」。

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