R:そして、さらに老朽化問題もありますよね。

小出:そうですね。原子力発電所も機械ですから、どんどん老朽化していくわけです。40年程度で原子力発電所というのは運転停止をし、廃炉に向けた作業に入るのがいいというのが、これまでの世界の基本的な常識でした。

日本でも40年を超えた原子力発電所が次々と現れており、敦賀原発1号機、美浜原発1号機というのは、もう原子力関係者自身が廃炉に向けて作業を始 めるという宣言をしているわけです。川内原発1号機もすでに30年を超えてしまっていますので、仮に今から再稼働をしたところで、そんなに長く動くわけで はありません。さまざまな安全対策にお金をかけて動かしたところで、またすぐに寿命がきてしまうということになってしまいます。

R:しかしあれですね、福島第一原発事故直後の頃は「原発動かさないと電力がもたないぞ、夏を乗り切れないぞ」とか言っていましたよね。

小出:言っていましたね。

R:そのうち「原発動かさないと、燃料輸入でお金がかかってしょうがないぞ」と言って、今度は「化石燃料だと CO2をなんとかしなきゃいけないぞ」と言い出し、結局、「やっぱりベースロード電源だから必要だね」と。いろいろな理由がこの間、手を替え品を替え出て きましたが、やっぱりどうしても動かしたいっていうことなんでしょうね。

小出:どうもそのようですね。福島第一原子力発電所の事故が起きた時も、「原子力がなければ停電してしまう」と 脅かしてきたわけです。それより前は「原子力発電所が日本の電力の3割を支えているので、もう原子力から抜けることなんてできないのだ」と、ずっと国民は 聞かされてきたわけです。

しかし実際には原子力発電所なんか即刻全廃したとしても日本の電力供給が不足するなんていうことは元々なかったのです。私は、福島第一原子力発電所 の事故が起きる前から、そのことをずっと発言してきました。国の統計データを見るだけでも、原子力を全く使わずに火力と水力だけで十分足りるということ は、もう分かっていたことなのです。それが今、事実としても証明されているわけです。
これからも川内原子力発電所を含めて、全ての原子力発電所を即刻全廃しても、電力供給に関しては全く困るようなことはありません。

※小出さんの音声をラジオフォーラムでお聞きになれます。
「小出裕章さんに聞く 原発問題」まとめ

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