R:「40年」と規定した科学的根拠は確かに不明確ですが、それを見直す理由としても、あまりに科学的根拠が不明確ではないでしょうか。

小出:はい。要するに、科学的根拠はもともと不明確なのです。実際の原子力発電所を使って、どこまで脆くなって いくかということを実験してきているわけで、正確な科学的根拠というのはもとからなかったし、今でもないのです。だんだん脆くなっていくという、その脆く なっていく程度を調べながらやってきました。これからもそうやっていくことになるわけです。

ただし、確実に脆くなっていくということだけは確かなのです。ですから、どれほど脆くなるまで我慢して運転していいのかということになってしまいます。それも科学的な判断というよりは、むしろ社会的な判断、あるいは、政治的な判断で決まると思って頂くのがいいと思います。

R:まさに、その最後の政治的判断という言葉が重くこちらにのしかかってきました。科学的ではないというのであれば、まずは、科学的に原発の安全性について議論してもらいたいというのが、私たちの気持ちですよね。

小出:そうですね。当然、原子力発電所がどこまで安全なのか、あるいは危険なのかということは、きちんと科学的 に議論をしなければいけなかったのですが、福島第一原子力発電所の事故が起きるまでは、「とにかく原子力発電所だけは安全だ」と国も電力会社も言い続けて きたわけです。挙句の果てに、福島第一原子力発電所の事故が起きてしまったわけで、本当であれば今こそ科学的な議論をして、その議論の上に、どこまでなら 本当に許容できるのかというような議論までするべきなのです。

そして、科学的な、テクニカルな議論だけではなくて、原子力というものに手を染めることによって、その他の社会的な問題、あるいは後々の世代まで危 険を押し付けてしまうといった倫理的な問題がたくさんあるわけです。そういう問題というものも、この日本という国で本当はきちんと考えるべきものだと私は 思います。

※小出さんの音声をラジオフォーラムでお聞きになれます。
「小出裕章さんに聞く 原発問題」まとめ