福島第一原子力発電所の廃炉作業が進められる一方で、他の原発では廃炉の決定が一向に進んでいない。活断層が見つかっている原発でも廃炉の決定に至らない現状について、元京都大学原子炉実験所・助教の小出裕章さんに事情を聞いた。
ラジオフォーラム

ラジオフォーラムの収録で語る小出裕章さん

ラジオフォーラムの収録で語る小出裕章さん

◆活断層の判定は玉虫色? R:原子力規制委員会の審査では、志賀原発(北陸電力)、敦賀原発(日本原子力発電)、東通原発(東北電力)について はそれぞれ直下に活断層があるということで、いわば「アウト」だと宣告しているわけですが、廃炉の決定には至っていません。再稼働に向けた動きは活発です が、廃炉があまり進んでいないのはなぜなのでしょう。

小出:もともと志賀原発、敦賀原発、東通原発は、かつての原子力安全委員会が「活断層はない」「大丈夫だ」と 言って許可を与えた原発です。福島の事故が起きてから、原子力規制委員会に移行し、活断層のことを審査する委員会などが別にできたわけですけれども、そう いう委員会に参加した新たな委員たちが、今度は「活断層はある」という宣告をしたわけです。

でもそのことを逆に言うと、今後また委員会の委員が変わってしまうと、今度は「活断層ではない」と判定をくつがえしてしまう場合もあり得るわけで す。そうなると電力会社としては、とにかく委員会の委員のメンバーをすげ変えて、原子力発電所に好意的な学者や専門家をどんどん集めて、それで審査をすれ ば、いずれは活断層でないと認めてもらえるはずだと踏んでいると私は思います。時間をかけて抵抗しながら情勢をひっくり返すということを狙っているのだと 思います。

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