R:結局はパフォーマンスに過ぎないということですね。

小出:基本的なことを言えば、もう放射能汚染水問題はどうにも手の打ちようがないという状態になっているわけで す。私は以前から抜本的に解決するためには、水を注入する冷却方式を諦めなければいけない、そして原子炉建屋周辺に地下の遮水壁、地下ダムというようなも のを張り巡らせて、汚染水が外に出ないようにしなければいけないと発言を続けてきました。

その2つの対策ができない限りは、どんなことをやっても結局はだめだということです。その2つの対策を実施するまでにはまだまだ長い時間がかかってしまいますので、当面はどうにもならない状態で、放射能汚染水が海へ流れ出てしまうということになってしまっています。

R:汚染水の流出だけでなく、福島第一原発事故で出た除染廃棄物の袋が大雨の影響で福島県飯舘村の川に流出した問題もありましたね。

小出:ありましたね。これも本当に厄介な問題で、あちこちにいわゆる私たちがフレコンバックと呼んでいる袋が積 み上げてあったわけです。大雨の影響で確か三百数十体だったと思いますが、それが流れ出てしまって、破れて中身もないというような状態であちこちへ流れ出 てしまったわけです。本当に自然の力というのは、人間が及ぶようなものではないのだなと改めて私は思いました。

フレコンバックに集めたものは、多分もう数百万袋、あるいはもう1千万を超えているのかもしれないと私は思いますけれども、その量全体からすれば、流れ出た量はわずかだったわけです。

ではその全体をどうするかと言うと、それすらどうしていいかわからないという状態になってしまっています。中間貯蔵施設であるとか、あるいは、それ ぞれの自治体で埋め捨てにしようとか言っているわけですけれども、基本的にその問題もこれから何十年も抱えていかなければならないという問題なのです。

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