アジアプレスが入手した金正恩氏偶像化のための宣伝図書「革命逸話集・仰ぎ従う金正恩同志」の表紙。(アジアプレス)

アジアプレスが入手した金正恩氏偶像化のための宣伝図書「革命逸話集・仰ぎ従う金正恩同志」の表紙。(アジアプレス)

 

金正恩氏に対する度を越した偶像化宣伝について、北朝鮮の住民たちも失笑を禁じ得ないようだ。人気漫画のキャラクターに例えて揶揄したりするなど、宣伝が逆効果を生んでいるようである。また、金正恩体制を非難する落書き事件も時々発生しているようである。(カン・ジウォン)

金正恩氏に対する偶像化宣伝はには、あまりに荒唐無稽で住民たちの失笑を買うようなものが少なくない。例えば「3歳の時に銃を撃って目標に命中させた」「5歳で自動車を一人で運転した」「9歳の時に外国人とボートの競争をして勝った」などというものである。

これらは、住民対象の「金正恩同志の偉大性教養学習」で幹部たちが大真面目に講演したり、学校の授業で教えられたりしている。このような虚偽の偉大性宣伝を、北朝鮮の住民たちはどのように捉えているのだろうか。

北部の咸鏡北道に住む取材協力者Aさんは次のように述べる。
「金正恩が3歳の時に銃を撃ったなどという宣伝は、さすがに誰も信じませんよ。『なぜ見え透いた嘘で宣伝するのだろう』と言っています。それに、それが外国に知られているなんて」

両江道の協力者Bさんは、学校で行われる金正恩の偶像化教育について「子供も騙せない」として次のように語った。

「3歳の時に銃を撃ったと学校で教えているが、子供たちでさえ『おもちゃの銃ぐらいは持って遊んだだろう』と茶化している。5歳で自動車を一人で運転したと幹部が講演した時には、『足がクラッチに届くのか』と住民の間から失笑が漏れたことがあった」

金正恩氏に対する不合理な偶像化宣伝と教育が、住民の中に逆効果を生んでいるようである。
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