:なるほど。少し技術的、科学的なことをお伺いしますが、実は根本的な問題がいくつかあるそうですね。

小出:はい、たくさんあります。もんじゅというのは、高速増殖炉という名前の、現在までは動いていないタイプの原子炉の、そのまた実験的な原子炉です。「高速」という言葉は、高速中性子という、現在の原子力発電所で利用している中性子とは少し違う、スピードの速い中性子を利用しますという意味の高速です。「増殖」というのは、燃えたプルトニウム以上に、もっと多くのプルトニウムが生み出されるという意味で、まさに夢のような話の原子炉なのです。

なぜ、こんな原子炉を造らなければならないかと言うと、現在の原子力発電所で利用しているウランというものは、質量数235というウランを燃やせるだけなのです。ただし、ウラン全体の中で質量数235のウランはわずか数パーセントしかありませんので、現在のような原子力発電をやっている限りは、地球上のウランは簡単に枯渇してしまうということがもう昔からわかっているのです。

ウラン全体の99.3パーセントを質量数238のウランが占めているのですが、それは現在の原子力発電所の原子炉では燃やすことができないのです。それをプルトニウムという物質に変えて、高速増殖炉で燃やすことができるのであれば、原子力の資源の量が60倍に増えると原子力を推進してきた人たちは言ってきました。

仮にそれができたとしても、ようやく化石燃料に匹敵する程度にしかなりませんが、それでも原子力の資源が数十倍には増えるという期待の下で高速増殖炉というものを開発しようということになったのです。

高速増殖炉が開発できなければ、原子力なんていうものは簡単に資源がなくなってしまうということは、原子力開発の一番初めからわかっていたことでした。米国にしてもロシアにしてもイギリスにしてもフランスにしても、何としても高速増殖炉を造りたいと思って開発を始めたのですが、あまりにも難しくて、全ての国が撤退してしまったという原子炉なのです。

小出裕章さんに聞く 原発問題