北朝鮮住民の栄養状態がいまだ劣悪であることは、各種統計や脱北者情報などから疑いのない事実であり、食糧援助関連の国際機関の常駐を許していることから、北朝鮮当局がそれを否定していないことも明らかである。

また、北朝鮮は国民の「栄養状態だけが悪い」のではない。医療保健、衛生、飲用水、電気、通信、交通、家庭用燃料など、人々の日常生活に欠かせない最低限の生活インフラも政権は十分に供給できずにおり、多くの住民が苦痛を味わっている。国際社会も、もちろん韓国も長く支援を続けてきたが、事態は大きく改善されたとは言えない。

そもそも北朝鮮の食糧問題の核心は何なのか?また、透明性に大きく欠け、不正腐敗が蔓延している「脆弱国家」北朝鮮に対し、どのような形の援助が望ましいのか、あるいは望ましくないのかについて考察した。

2-1多様化した食糧入手方法を分類する

◆配給制度の麻痺によって分化した食糧調達
社会主義を標榜する北朝鮮において、かつて住民の栄養摂取のほぼ唯一の源泉であった食糧配給制度は、今やその機能の大半を喪失した。地域、階層、職場、組織によって、食糧入手の方法、その質と量には大きな差と多様性が生み出されているのが現状だ。

続きを見る...

<北朝鮮への人道支援>記事一覧

※北朝鮮の人口は約2489.5万人(2013年国連経済社会局人口部)という推定値があるが、正確には不明。90年代の餓死発生を隠すために北朝鮮当局が過大申告している可能性が高いというのが筆者の見解。
※参考 2012度の中国から穀物輸入額は139,276 千ドル(前年比+10.9%) (KOTRA)
※各種拘禁施設で収容者によって生産される農産物も相当な量になると思われる。一例は平安南道の甑山(ジュンサン)教化所。ここは保安部(警察)が管轄しており、収容者推定7000人が農作業に従事させられている。生産物は保安員の配給に回されたり市場に販売されたりしている。(「北朝鮮内部からの通信リムジンガン」第4号『脱北難民は北朝鮮送還後どのように扱われるか』2010年3月)