◆「社会主義道徳」で忠誠心教育

全教科書に貫かれている教育指針は、金正恩に「忠実な人材」を育成するということである。 特に社会科目で関連した記述が多く、内容も強い。中でも「社会主義道徳」は、まさに科目として「忠誠分子養成」を目的としたものであった。

初級中学1~3年生用の「社会主義道徳」の教科書は、最初のページに「学生少年が道徳生活で守らなければならない10事項」が掲載されている。(以下「学生少年道徳10事項」)

第一の項目には、「少年団員は、偉大な金日成大元帥様と金正日大元帥様を、主体の永遠のお日様として高く崇め、敬愛する金正恩元帥様を衷情で高く崇めなければならない」とある。

他の項目はどうか。政治生活、一般礼儀、遵法秩序をしっかり守らなければならないこと、軍隊の支援をはじ め、国家のために良い事をたくさんすることを強調する。そして最後の第10項では、金正恩時代を指すと思われる「強盛朝鮮」の新世代らしく生活しなければ ならないと記されている。

この「学生少年道徳10事項」の目的は、金正恩に対する忠誠、金正恩の偶像化にあるのだが、これは、北朝鮮の最高統治規範である「党の唯一 的領導体系確立の10大原則」(「10大原則」)を範にしているのは明らかだろう。すべての国民が首領のために生き、首領のために死ぬべきだという、「絶 対服従、絶対忠誠」を綱領化したのが「10大原則」だが、「学生少年道徳10事項」はその学生版だといえる。

「10大原則」の第2条は、「偉大な金日成同志と金正日同志を、我が党と人民の永遠なる首領として、主体の太陽として高く仰ぎ奉らなければならない」となっている。

「学生・少年道徳10事項」は、学生少年の年齢に合わせて文句を変えただけで内容は同じである。

北朝鮮における道徳教育とは、金氏一家三代に対する盲目的な崇拝と、金正恩に対する忠誠心養成が目的となっていた。(文中敬称略)

              学生少年が道徳生活で守らなければならない10事項

1. 少年団員は、偉大な金日成大元帥様と金正日大元帥様を、主体の永遠のお日様として高く崇め、敬愛する金正恩元帥様を衷情で高く崇めなければならない。
2. 少年団員は、強盛朝鮮のために一生懸命学び、また学び、組織生活に誠実に参加しなければならない。
3. 少年団員は、組織や集団を大切にしなければならず、友達を大事にしなければならない。
4. 少年団員は、いつでもどこでも礼儀正しく行動しなければならない。
5. 少年団員は、いつも高尚で美しい我が国の言葉を使わなければならない。
6. 少年団員は、公衆道徳と交通秩序を自覚的に守らなければならない。
7. 少年団員は、学校の中で道徳と秩序を自覚的に守らなければならない。
8. 少年団員は、身なりを整え体を清くしなければならない。
9. 少年団員は、人民軍隊を積極的に援護し、体と心を頑丈に鍛えて、愛国の心一つで良い事をさらになさなければならない。
10. 少年団員は、強盛朝鮮の新世代らしく生活しなければならない。

 

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