日本の政府・与党は9月26日に召集された臨時国会でTPP承認案と関連法案の承認・成立を最優先課題に据えている。なぜ、 急ぐのか。

田淵さんは、「11月8日の米大統領選より前の衆議院通過を目指し、米国内での早期承認を促すための援護射撃をするというわけです」と語り、「どちらが大統領になっても日本に再交渉を求めてくる。それを封じるために先に承認するのだと言っていますが、再交渉しろといわれれば応じざるを得ないでしょう。先に承認してしまったら日本の再交渉の余地がなくなるだけ」と説明した。

◆TPPの抜け穴、国民皆保険制度にも
続いて、山田雅彦・元農水相は協定の中身について説明した。

「一番大きな問題は医療の問題です。第2章には『独立機関を設けて外資製薬会社が価格決定に介入して、その意見を考慮すること』 とあります。薬価について、日本では今まで中央医療審議会で決め、最後は厚生労働大臣が決めたが、協定が結ばれると外資製薬会社が参入することになるのです」

「国民皆保険制度」について政府は守られたと言っているが、山田さんは否定する。

「確かにTPP協定の中には、『生命とか健康とか、社会保障制度に関する法律・制度については民間に開放せず、政府が引き続きやること』と書かれている。ところが、その条文をよく読んでいくと、ただし書きがあって、『政府が認めた金融機関については例外』となっている。 米国で言うところの金融機関は保険会社。これから米国の保険会社が日本に進出し、国民皆保険制度などで不利益を受けたと、ISDS条項で訴えることも考えられる」

10月15日の正午から、東京でも大規模なTPP批准反対の集会が予定されている。

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