◆80年代、北民衆はデモ映像で韓国の豊かさ知った

1980年代、韓国では反独裁と民主化を訴える大規模デモが燃え盛った。北朝鮮でも、しばしばそのニュースが流された。独裁的軍事政権に南の民衆が反対していることを強調して、韓国に正当性がないことを国内で宣伝するためだ。

だが、北朝鮮の人々は、そのデモ映像に映る別の情報に注目した。韓国の人々の服装や街並み、車の多さを見て、経済が発展していることを推測するようになったのである。

「南は軍事ファッショ政権下で、人民は抑圧され飢えていると教えられていたのですが、デモ映像に映っている若者たちは、いい服を着ているし、痩せこけた人なんていない。街には高層ビルが立ち並んでいる。かすかに伝え聞いていた『南は豊だ』という噂を確認した思いでした。」。

ソウルに住む知り合いの脱北者は、80年代に韓国のデモのニュースを見た時の「発見」についてこのように述べた。

2000年代から情報流入が続き、今や北朝鮮では、都市と農村に関係なく、また大人から子供に至るまで、韓国が経済的に豊かになったことは常識として知っており、憧れや矜持すら感じている人が少なくない。今さら街並みにモザイクを掛けたところで、効果があるとは考えられないのだが。(石丸次郎)

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