(参考写真)商売の不調で中国に越境する女性が増えた。写真は路上で商売をする女性。2012年8月に両江道恵山市にて撮影「ミンドゥルレ」(アジアプレス)


◆怖くて北朝鮮に戻れない

彼女は口にしなかったが、中国での滞在時間が長くなるにつれ、心が揺れるようだ。ジンさんとずっとつきあってきた朝鮮族の取材協力者は、
「韓国行きを相談されています。北朝鮮には怖くてもう戻れないと。そうやって、最後には脱北を決断する人が多い。韓国の人権団体に相談して連れて行ってもらう。不法出稼ぎをしているのは女性ばかりです。男はやはり怖くて住み込みはさせられないから」と述べた。
 

60代後半の女性は延辺に来て7年。やはり住み込みで高齢者の介護をしている。月給は同じく3000元。「息子、娘たちに会いたいけれど帰って来るなと言うんですよ。私からの送金を当てにして暮らしていますからね。それに中国暮らしがこう長くなると、処罰が恐ろしくて北朝鮮には帰れません」

北朝鮮から越境してきた女性同士で、たまの休日に公園に食べ物を持ち寄って歌や踊りを楽しむのが慰めだと言う。仲間の中には逮捕されて北朝鮮に強制送還されたり、韓国に行った人がいると言う。

「自分も年を取ったので、人生の終わりをどこで迎えるか悩むようになりました」
と彼女は嘆息した。
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