脱北防止のため中国国境は有刺鉄線が張り巡らされている。その脇を女性たちが自転車で疾走していた。2017年7月中国側から撮影石丸次郎(アジアプレス)

◆死ぬまでに一度外国に行ってみたい

――あなたの夢、希望は何ですか?

 正直にいえば、改革開放してほしい。今はどうにも貧しくて無理でも、人として一度生まれたからには、飛行機にも乗ってみたいです。私はもう無理でしょうけれど、子どもたちの世代には…。

――無理でしょうか?

 私が死ぬまでには実現できないでしょう。韓国の映画とかドラマを見たら、飛行機に乗って外国に行くシーンが出てくるじゃないですか。韓国と日本、中国、外国に行って見たいです、飛行機に乗って。

――海外旅行に行くのが夢ですか?

 はい。他の国の人たちが何を食べて、どんな暮らしをしているのか知りたいです。ふふ。

――あなたの世代で実現できると思いますか?

 いいえ無理ですよ。(政府によって)国民が話すことも聞くこともできないように閉鎖されています。祖父さんの時も、親父の時も、孫になっても(金日成―金正日―金正恩三代の意)もまったく同じなんです。執権者だけが豊かに暮らせばいいのです。私たちは家畜のように(檻の中で)生きていくだけです。国を開放しないから、(私の夢が)叶うはずがありません。

――なぜ執権者たちは人々を外国に出さないようにするのでしょうか?

 人民の目が覚めるからですよ。うちのアパートにも、ソ連(ロシア)やクウェートなど、海外に行ってきた人がいます。その人たちは、何もかも分かっています。

――考え方が違いますか?

 ぜんぜん違います。ソ連に行ってきた人と一緒に会議によく参加しますが、考え自体が異なります。(当局の説明を)鼻であしらいますよ、チッと。目が覚めたんです。資本主義を経験したので。

――それで封鎖するのでしょうか?

 そうですよ。(政権が)統制するのに困ることになるから。
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※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。

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