三度目の首脳会談で金正恩氏と習近平氏は何を話したか。6月20日の労働新聞より引用。

北朝鮮に対する経済制裁の中心的役割を担ってきたのは貿易の9割を占める中国だ。今年に入り、北朝鮮の対中輸出は90%近く減少し、国内経済は大きな打撃を受けている。ところが、5月7日に金正恩氏が二度目の訪中した以降、朝中国境地帯では大きな変化が起こっている。中国は国連安保理の制裁決議の大枠は守っているものの、国境で密輸が活発化しているのだ。中国当局が国境の「穴」を意図的に見逃すことで、実質的に制裁「緩和」に動き出していると見られる。(カン・ジウォン / 石丸次郎)

◆国家機関が大々的に密輸

鴨緑江と豆満江の二本の川を境とする北朝鮮と中国の国境は1400キロに及ぶ。この20数年間、大小の密輸が活発に行われてきたが、金正恩政権が核・ミサイル実験のペースを上げた2016年頃から、中国が厳格な国境警備を敷いて「穴」を塞ぎ、壊滅に近い状態になっていた。

ところが、5月の二度目の金正恩-習近平会談後から、中国側の警備が大きく緩み、「穴」は大きくなっている。北部両江道(リャンガンド)に住む複数の取材協力者が、数週間にわたって鴨緑江の密輸の現況について調べたところ、北朝鮮側では国家機関が乗り出して大規模な密輸を行っていることが分かった。まず、その報告を記そう。

「3月までは中国側の警備が厳しくて、(内閣の)鉱物省傘下の会社がレアメタルを少しずつ中国に送っていたくらいだった。ところが、5月中旬から鴨緑江上流に貿易会社が集まってきて、ダンプカーまで使って「機関密輸」を活発にやるようになった。例えば、三池淵、天池、連勝、綾羅、ウンパサン、モラン、ピョヒャン、チョンリョン、ペクソル、ヨンプン、コンジャンドク、ヘグム、ナレなどの会社だ」

これらの会社は、いずれも労働党や軍傘下の商社で、国境警備隊や保安(警察)の庇護のもとで、国境で堂々と品の送り出しをしているという。品目は何なのだろうか。

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