守口市の旧庁舎解体で違法性のある作業を指摘する再調査結果報告書の一部(井部正之撮影)

旧庁舎解体にともなうアスベスト(石綿)対策で問題が続出している大阪府守口市で、再び違法工事の疑いが浮上している。今度は何が起こったのか。(井部正之/アジアプレス)

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◆再び法違反の可能性浮上

守口市は旧庁舎を解体し、再開発する計画を立案し、2018年6月に解体工事を発注した。工事を請け負ったダイナ建設(大阪市)や同社から調査を依頼されたアスク・サンシンエンジニアリング(横浜市)らが大気汚染防止法などで義務づけられたアスベストの事前調査を実施し、同12月に着工する予定だった。

ところが、調査結果を示す現場の看板に虚偽記載があったほか、調査・分析の不備が発覚。さらに2018年12月の説明会前日にアスベストを含有する成形板などの除去を開始していたにもかかわらず、これから着手するかのように説明していたうえ、その際の作業が条例違反との疑惑(業者は否定)を受けるなど、様々な問題が明らかになり、同12月10日以降工事が停止したままだ。

住民は第三者機関によるアスベストの再調査を要求。市は2月、堺市の煙突アスベスト問題で実績のある建築物石綿含有建材調査者協会(貴田晶子代表理事)に第三者的な立場からの再調査を依頼した。同協会は2月14日以降、現場調査を実施している。

守口市は5月15日、改めて住民説明会を開催。そこで同協会による調査結果が報告されたのだが、そのなかで違法工事の可能性を示す現場状況が明かされたのである。

調査者協会による再調査では、吹き付けアスベストの取り残しを事前調査で見逃していたほか、多数の調査ミスが発覚した。詳細はヤフニュースやアジアプレス・ネットワーク掲載の拙稿〈<守口市アスベスト>ずさん!旧庁舎解体で調査ミス続々発覚残存、見逃しなど20か所以上〉〈守口市がアスベスト調査不十分認める 市庁舎解体で 誠意ない対応に住民反発〉をご参照いただきたいが、調査ミスが見つかった1つに内装仕上塗材がある。

仕上塗材とはセメントや合成樹脂などの結合材、顔料、骨材を主原料として壁などの表面に凹凸模様など形成する仕上げ施工で、上塗材・主材・下地調整塗材など複数の層で構成される。この主材や下地調整塗材にアスベストを含有している場合があるという。

今回の再調査で新たに計19か所の内装仕上塗材からアスベストを検出したが、そのうちの1つ、本館3階の内装仕上塗材について、調査者協会の担当者はこう説明した。

「残念ながら、壁が一部分だけ壊されてしまっていて、そこに(アスベスト)含有建材が混じっていたことを確認しています」

住民に配布された、調査報告書から一部を抜き出した資料の本館3階の図では該当する幅3~4メートルの壁について、〈壁等を解体したガラが散乱しており、石綿含有塗材が含まれている可能性がある〉と注記されている。

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