◆京都大学は「違法な盗掘ではない」と主張

今年3月の第一回口頭弁論で、被告の京都大は、当時の沖縄県庁等から許可を得たことなどを根拠に「違法な盗掘ではない」と主張、請求の棄却を求めた。原告が主張する「祭祀承継者」についても、「百按司墓の祭祀葬祭者は絶えていた」などとした。

これに対し原告側は5月17日にあった第二回口頭弁論で反論、「一族の血縁の人々による『今帰仁上り(ヌブイ)』という聖地の巡拝が行われており、百百按司墓は重要な巡礼地である」などと主張した。

この日は原告の玉城さんの意見陳述も行われた。玉城さんは「何の疑いもなく百按司墓に参拝してきたが、祖先の遺骨がなくなったことを知り、心に穴が開いたような気持ちで手を合わせている。大変屈辱的で虚しい。遺骨の返還は、琉球人の尊厳、誇りを取り戻すこと」などと訴えた。

玉城さんは、国立台湾大(旧台北帝国大)が3月、金関氏が持ち出した33体を含む63体の遺骨を沖縄に返還したことに言及、「琉球人骨を子孫に返還するのが世界の潮流。京都大も台湾大を見習い、先祖の遺骨を返還すべき。遺骨を取り戻し、百按司墓で心安らかに休むことができるようにしたい」とも述べた。

遺骨の持ち出しは、1879年の琉球併合後、警察を含む行政、教育関係の上層部の大半を日本人が占めるという体制下で行われた。

アイヌ民族の遺骨についても同様で、文部科学省の調査では12大学で1600体を超す遺骨が保管されているという。アイヌ民族の遺骨をめぐっては北海道で2件の返還訴訟が提起され、北海道大は和解し、遺骨返還に応じている。

閉廷後、原告らは報告集会を開催。丹羽雅雄弁護団長は「戦後も継続する歴史的、構造的な差別、植民地主義を撃つ訴訟だ」とあらためて訴訟の意義を強調した。(栗原佳子・新聞うずみ火)