旧庁舎解体にともなうアスベスト対策の不備をめぐって揺れる大阪府守口市が7月20日、住民説明会を開催した。5月の説明会では通勤・通学などで現場近くを訪れる市外在住者の出席を許さない差別的対応をしたほか、新たに発覚した法違反の「可能性が高い」不適正作業について法的適合性を説明しなかったなど様々な問題がみられた。約2か月後に開催された今回の説明会ではどうだったのか。(井部正之/アジアプレス)

大阪府守口市は7月20日、旧庁舎解体のアスベスト対策に関連し説明会を開催。今回は“非市民”の排除はしなかったが、対応に問題が多く批判が相次いだ。写真は市がレベル3除去を知りつつ公表しなかった1月18日の説明会のようす(井部正之撮影)

◆問題続きの市の過去対応

同市では2018年12月から旧庁舎解体に向けたアスベスト除去を実施する方針だったが、当初設置された事前調査結果を示す看板に虚偽記載があったことを皮切りに調査ミスや不適正な分析などが次々発覚して同12月10日工事がストップした。

市は1月18日の説明会後に強制着工しようとしたが、住民に一切知らせないまま12月6~8日に「レベル3」に分類されるアスベスト含有建材の除去が実施され、約6300平方メートルの「ほとんど」が除去済みだったことが発覚した。除去作業は12月説明会当日にも実施していたにもかかわらず、あくまで今後の作業として説明。市は1月の説明会前に「レベル3」建材除去の事実を把握していながら、説明会で隠していた。

こうした一連の問題が市議会でも追及されるなどして、その後ようやく第三者機関による再調査が実現した。

その結果、数十カ所のアスベストの調査ミスが判明。5月15日の説明会で公表された。

ところが、この説明会では通勤・通学などで現場近くを訪れる市外在住者の出席を許さない差別的対応をしたほか、新たに発覚した法違反の「可能性が高い」不適正作業について法的適合性を説明しなかったなど、様々な問題がみられた。

筆者が府に確認したところ、府に対して作業前に届け出が必要だったうえ、アスベストを飛散させた違法工事である「可能性が高い」ことが発覚。筆者の指摘を受けて府は市に対して大気汚染防止法(届け出義務)違反の可能性があるとして、5月20日、市を指導した。詳細はヤフーニュースやアジアプレス・ネットワークに掲載の拙稿〈<アスベスト問題>府が守口市を行政指導 旧庁舎解体で大気汚染防止法違反の「可能性高い」〉など一連の過去記事をご参照いただきたい。
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