頂まで伐採された北朝鮮の山。山肌に墓地も多い。植樹と農地確保が強制移葬の理由だという。2017年7月中国側から撮影石丸次郎(アジアプレス)

◆農地確保と植林名目に墓の掘り起こし命令

北朝鮮当局は、先祖の墓参りをする4月5日の清明に合わせて、土葬の禁止及び既存の墓の強制移転と、遺体の火葬を住民に指示した。

期限を6月15日に設定し、それ以降も残っている墓は、管理する者がいないものとみなし、山奥にあるものを除いて、当局が潰して農地として整理するか植林すると通達した。「移葬」の期限が迫った6月中旬には、各地で、先祖の墓を掘り返して亡骸を火葬場に運ぶ人の群れが、各地で目撃された。

名目は農地確保と山森回復だが、住民の間では、伝統的な葬礼文化、旧盆の会食習慣に大きな影響が出ているようだ。両江道(リャンガンド)に住む取材協力者は9月9日、「これまでのように秋夕(旧盆)に親族が集まって墓参りする風景はなくなるだろう」と伝えてきた。
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