東京新聞の望月衣塑子記者と筆者。2018年12月東京にて(筆者提供)

今年2月、東京新聞の特定記者の質問行為について、首相官邸が2018年12月28日に内閣記者会と東京新聞に申し入れ手紙を送っていたことが明らかになった。その手紙は、その記者の質問行為を「事実誤認」「度重なる問題行為」と断定し、「官房長官記者会見の意義が損なわれることを懸念」して「このような問題意識の共有をお願い申し上げる」と官邸報道室長名で送られた。

それに対して、「これは明らかに政府から報道への圧力だ」と、新聞労連や研究者と弁護士のグループが強く抗議する声明を発表した。また3月にはその記者への質問制限が国民の知る権利を奪っているとして、官邸前でデモも行われ600人が参加した。

この官邸からの申し入れ手紙について、「表現の自由に関する国連特別報告者」のデビッド・ケイ氏は7月に日本政府に通知書を送り、さらなる情報を求めた。そして、その問い合わせに対して日本政府が約2か月後に回答してケイ氏の通知書と共に公開された。ケイ氏の政府への問い合わせは、国際人権基準から見たジャーナリストの役割に関する政府の義務などについても説明されたものであった。ここではそれらの内容や背景について紹介したい。

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