◆米国は「制裁緩和しない」と明言

一方、米国の自由アジア放送(RFA)など複数のメディアによると、米国国務省は30日、非公開協議が行われたことを認めつつ、北朝鮮が、禁じられた大量破壊兵器と弾道ミサイル開発を続けており、制裁緩和はしないとことを明確にした。

対北朝鮮経済制裁は、年々強化上書きされてきた。2017年には、中ロも賛成した安保理決議で、輸出額上位四品目の石炭、繊維製品(委託加工品)、水産物、鉄鉱石が全面禁輸となって輸出額の約90%を失った。また、派遣労働者も2019年12月をもって全員送還が義務付けられた。北朝鮮は外貨収入を大幅に減らし、国内経済は大打撃を受けている。

国連安保理決議は、常任理事国の一国でも拒否すれば成立せず、中ロがこの度提出した制裁一部緩和案も、採択される可能性はない。中ロはそれを承知の上で、金正恩政権を支援する姿勢を明確にしたわけで、北朝鮮の核開発に対する「国際共同ペナルティ」体制は、ほころびに向かう岐路に立たされたと言える。(石丸次郎)

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