レザさんは、イランに帰国後も日本のネット配信を通して志村さんの番組を楽しんできたという。(本人写真提供)

◆「イランでは『おしん』の次に有名なのが志村さん」

日本とイランを行き来しながら翻訳業などの会社経営をしています。現在、テヘランにいますが、志村さんの番組が大好きで、3月17日放送の「志村でナイト」をネット経由で見たところでした。彼が新型コロナで入院したことを知り、心配していましたが、まさか亡くなるとは……。涙が出ました。

私は早稲田大学留学のため89年に来日、日本語学校へ行っている時、テレビをよく見ました。話芸中心の漫才は言葉の問題もあり、笑いにつながりませんでした。一方で志村さんは言葉と関係なく、コミカルなアクションと演技で笑わせるんです。

変なおじさん、バカ殿様、ひとみ婆さん、志村屋...。全部見てましたよ。彼の顔立ちがはっきりしていて、ちょっとイラン人ぽいというか、親しみを感じさせるところもありました。

志村さんは単に人を笑わせるだけじゃなく、社会風刺もネタにしていたと思います。例えば「志村運送物語」。働かないのに偉そうにしている志村社長と、その下で苦労する奥さん。給料が遅れるとか、生活が大変とか、日本社会の一面も教えてくれました。

新型コロナウイルスの感染者はイランでも拡大した。薬局の受付は飛沫感染を防ぐため、ビニールシートで区切られる。(3月31日にテヘラン市内で撮影、レザ氏提供)

志村さんを奪った新型コロナウイルス。イランも感染者が多いのですが、私のいるテヘランは今のところ落ち着いていると思います。現在、自宅待機要請が出ているため、食料品や医薬品を扱う店以外は閉まり、人の姿はまばらです。外出時は、ほとんどの人が手袋とマスクをしています。マスクは日本と同じように入手が難しい時がありますが、トイレットペーパーは十分にありますし、買いだめとかパニックにはなっていません。

イランではドラマ「おしん」が有名です。その次に知られているのは、志村さんではないでしょうか。私たちの大スターです。多くのイラン人は彼の死を悲しんでいます。ネット配信を通して彼のコントを楽しんできましたから。志村けんさんの名は、多くのイラン人の心に刻まれることでしょう。

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