◆北朝鮮側は貿易再開を渇望

北朝鮮側はまったく逆で、貿易再開への期待が膨らんでいる。中国に依存してきた物資がまったく入ってこなくなった上、国内の移動統制が厳しくなり物流が麻痺、経済が大きな打撃を受けているためだ。両江道の恵山(ヘサン)市に住むビジネスマンは、13日通話で次のように述べた。

「中国のコロナウイルス拡大が収まって状況が安定したので、4月15日(金日成生誕日)が過ぎたら貿易が再開されるだろうと大いに期待するムードだ。貿易商社では6日から中国に輸出する漢方薬材料、ワラビ、タラの芽などの山菜を住民から買い入れを始めるなど貿易再開の準備に忙しい。我が国が食べていくのに中国がどれだけ大きな力を持っているか身に染みてわかった。もっと貿易中断が長期化したらおしまいだ」

彼は貿易再開遅延の情報は知らない様子だった。

◆「国家密輸」もアウト 封鎖長期化は大きな打撃

密輸はどうなのなのだろうか? 中国人の貿易仲介者によると、北朝鮮側の商社から国家機関が実行する「国家密輸」の持ちかけが多いが、「中国側の警備が厳しくなっていて当分は不可能だろう。数量や品質の確認のために国境で直接会わなければならないが、コロナウイルス感染が怖くてやろうとする業者はいない」という。

北朝鮮の貿易の九割以上を中国が占める。5月末まで輸出入が止まったままなら、北朝鮮の一般住民だけでなく金正恩政権にも痛手になることは間違いないだろう。

米国の「自由アジア放送」(RFA)も、北朝鮮消息筋の話として、朝中貿易再開が5月中旬になったと4月13日に報じている。

最大の通商口である遼寧省の丹東市では、北朝鮮に向かう貨物車が、4月に入ってから度々目撃されているが、RFAは防疫支援物資などの重要物資を搬入する臨時措置だろうと伝えている。(カン・ジウォン/石丸次郎)

※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。