北朝鮮国内の協力者と6月後半に交わしたチャットメーセージ。撮影アジアプレス

 

◆「金正恩孤児院」から続々逃亡

孤児院から子供たちが続々逃亡していると、7月に入って恵山市の協力者が伝えてきた。食事がまともに提供されなくなったためだという。

金正恩氏は2014年頃から、平壌を皮切りに全道に孤児院を建設させた。年齢別に愛育園、初等学院、中等学院と呼ばれる。市場などを徘徊するコチェビを強制収容して集団生活をさせた。

日本や韓国でコチェビの姿を撮影した映像が広く報じられ、怒った金正恩氏が豪華な孤児院の建設を命じたと言われている。金正恩氏直々のプロジェクトであったため、孤児院では白米、間食まで出す厚遇が続いていた。道党が責任を持ち、役所や企業に負担させていた。

ところが、やはりコロナウイルスによる経済混乱で、どこの機関も分担することが困難になった。

「両江道の中等学院は恵山工業大学の隣にある立派な建物だ。そこから子供たちがどんどん逃げ出している。定員150人のうち残っているのは60人程とのことだった。夏になって外でも寝られるので、野宿しながら物乞いをしている。集団生活の規律が厳しいのも嫌だったようだ」

◆コロナ恐慌

北朝鮮で今発生しているのは、「コロナウイルス経済恐慌」だと言えよう。過去の経済不振と異なるのは、疫病対策のために、中国との間の貿易、投資、観光がほぼ完全にストップしてしまった上、国内の流通の多くも止めざるをえなくなり、20数年間を経てようやく定着し市場経済が大打撃を受けたことだ。

東アジアのコロナウイルス禍が収まるまで、北朝鮮の経済苦境は続くことになるだろう。

※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。

北朝鮮地図(製作アジアプレス)