(参考写真) 銃の整備をする訓練中の国境警備隊。2004年8月中国側から石丸次郎撮影(アジアプレス)

◆河川氷結し困窮者が逃亡図る

金正恩政権が新型コロナウイルス対策を理由に統制を強めたため、住民生活が極度に悪化している。困窮した人が厳重な国境警備を突破して中国への脱出を図り検挙される事件が相次いでいる。銃撃を受けて死亡者も出ている模様だ。(カン・ジウォン)

中国との国境近くに住む複数の取材協力者によれば、脱北を目指す人が増えたのは1月に入ってからだ。国境河川の鴨緑江、豆満江が凍り徒歩での渡河が可能になったからだ。

「警備が厳重で賄賂も通じなくなっているのに、いちかばちかで中国に逃げようとする人たちが増えている。どん底生活で万策尽きた人たちだ。川辺では時折銃声が聞こえるようになった」

鴨緑江近くの恵山(ヘサン)市に住む取材協力者Aさんが、1月末にこう伝えてきた。

北朝鮮地図(制作アジアプレス)

 

Aさんは具体例を示した。1月18日には、恵山市から少し下流に下った金亨稷(キムヒョンジク)郡で、一家3人が脱北しようとして逮捕された。川辺の氷を踏み割る音がして発覚したという。持ち物からアヘンが発見されたが、捕まった時の自殺用として持っていたもので、逮捕された時、夫は薬を飲んで失神した状態だった。

「一人は軍犬に噛まれて深刻な状態だと聞いた」とAさんは言う。

また、同じ時期に恵山市の渭淵(ウィヨン)地区でも、若い除隊軍人の男性が中国に越境しようとしたところ、国境警備隊が撃った空砲にたじろいで捕まる事件があったという。