大阪府は独自に条例で定めている除去作業中における大気中アスベスト(石綿)濃度測定の基準について、これまでの「敷地境界」から「工事施工境界」に変更する。測定地点が作業場所に近づく場合が少なくないため、実質的な規制強化といえそうだ。(井部正之)

大阪府が公表した測定地点変更のイメージ図

◆階段での測定も想定

発がん物質であるアスベストについては、2005年6月に兵庫県尼崎市のクボタ旧工場周辺で住民の中皮腫(肺や心臓などの膜にできるがん)被害が明らかになった。これを契機に大阪府は「府生活環境の保全等に関する条例」を改正。2006年以降、吹き付けアスベストや保温材、断熱材など危険性の高い「レベル1~2」建材の除去などで50平方メートル以上の作業の場合、作業前(場内1カ所)や作業中(6日ごとに敷地境界4カ所)、作業後(場内1カ所)の空気中のアスベスト(総繊維数)濃度測定を義務づけてきた。

府条例は施行規則でその際の「敷地境界基準」として総繊維数濃度で「石綿の濃度が1リットルにつき10本」と定めている。

今回の条例改正では作業中の測定について定めた「敷地境界基準」を除去などの作業区画の境界である「工事施工境界基準」に変更する。単に事業者が決めたアスベスト除去など「特定工事の境界ではなく、工事請負者が占有し、発注者従業員を含む一般公衆が立ち入ることができない当該専有部分を囲んだ線から外側1メートルの位置」と1月にパブリックコメントへの回答で公表している。

屋外の敷地境界から、屋内ないし建物の境界などが多いとみられる「工事施工境界」に測定基準を改めることにより、測定地点がより作業現場に近づく場合が少なくない。濃度基準は同じでも実質的な規制強化といえそうだ。

府事業所指導課によれば、2019年5月ごろ鹿児島市の百貨店で営業中に店内のアスベスト除去作業を適正な対策なしに実施していた事例などを念頭に「一般住民へのアスベスト曝露を未然に防止する観点で変更する」という。

府の説明資料では、施工場所の上下階の階段での測定も位置づけられている。