神奈川県は独自に条例で吹き付けアスベスト(石綿)などの除去時に大気中の濃度測定を義務づけることを決めた。敷地境界より作業現場に近い「施工区画境界」による測定を条例で義務づけるのは大阪府に続いて2例目。(井部正之)

新たにアスベスト対策を義務づける条例改正案の全会一致による可決を示す神奈川県議会のホームページ

◆指針による「指導」に限界

発がん性の高いアスベストを含む建材の除去作業については、大気汚染防止法(大防法)や労働安全衛生法(安衛法)石綿障害予防規則(石綿則)で対策が義務づけられている。ところが、イギリスなど対策が進む国に比べ、「15~30年遅れ」と指摘されている。そのため自治体が条例や要綱などで独自に規制してきた経緯がある。

神奈川県の場合、これまで大防法よりも厳しい対応を求める独自の指導指針を公表。吹き付けアスベストなど危険性の高い「レベル1~2」建材の除去作業時に周辺への漏えいがないことを確認するため、測定の実施などを求めてきた。

しかし同県大気水質課によれば、指針による独自対応が「法令に基づくものでない」ことから限界があったという。そうした課題をふまえ、「根拠を明確にするという意味で条例化することになった」(同課)と説明する。

新たに県条例に義務づけるのは、吹き付けアスベストなどレベル1~2建材について、(1)除去時に施工区画境界4カ所で6日ごとの大気中の濃度測定、(2)建物の通常使用時における調査と飛散防止に努める、(3)県に対する作業完了から30日以内の報告、(4)測定で基準値を超えた場合など非常時に実施すべき飛散防止措置、(5)工事の周辺住民への周知──などの5項目。

(1)の施工区画境界における測定義務では、「管理値」として(アスベスト以外も含む)総繊維数濃度ではなく、アスベストの繊維数濃度で空気1リットルあたり1本を採用予定。施工区画境界におけるアスベスト繊維数濃度で同1本との管理値採用は条例における規制として全国初めて。