◆管首相が再発防止誓った当日公布、問題規制公布 面目丸つぶれ

珪藻土バスマットなどにアスベスト(石綿)検出が相次ぐ状況を防止するための新規制に「抜け穴」が存在していたことが明らかになった。しかもあらかじめ問題点が指摘されていたのに国は放置していた。(井部正之)

建設アスベスト訴訟の原告らに謝罪する管総理。首相官邸HPより

◆個人輸入は報告義務「対象外」

2020年11月以降、珪藻土バスマットなどに基準を超えるアスベストが含まれている事例が相次ぎ、自主回収が続いている。その数はじつに391万個超におよぶ。

吸水性が落ちたり汚れたら紙やすりで削る「お手入れ」が推奨されているが、削ったり割ったりすると発がん物質であるアスベストを吸ってしまうおそれがある。アスベストを吸うと数十年後に中皮腫(肺や心臓などの膜にできるがん)などを発症する危険があるため、
2006年9月に使用などが原則禁止、2012年3月に全面禁止された。

この間アスベストを検出した珪藻土製品の大半が中国からの輸入品であることから、厚生労働省は5月18日、労働安全衛生法(安衛法)石綿障害予防規則(石綿則)を改正し、海外から珪藻土製品を輸入する際、アスベスト混入防止のための書面確認などを義務づけた。

今回の石綿則改正は12月以降、珪藻土製品を「輸入しようとする者」に対し、製造ロットごとにアスベストが重量の0.1%を超えて含まれていないことを書面で確認する義務を設けるというものだ。つまりは製品を分析して、基準超のアスベストが含まれていないことの証明を輸入前に確認するよう求める水際対策である。

ところがこの新規制に「抜け穴」があった。

新たな規制には基準超のアスベストが含まれていた場合、「遅滞なく」、
(1)製品の名称や型式
(2)製造した者の氏名または名称
(3)製造または輸入した製品の数量
(4)譲渡または提供した製品の数量と譲渡先または提供先
(5)製品の使用に伴う健康障害の発生及び拡大を防止するために行う措置
──について、「所轄の労働基準監督署長に報告しなければならない」とも定めた(報告義務は8月施行)。

問題は、労基署への報告義務を負うのは書面確認の義務が設けられる「輸入しようとする者」ではなく、「製品を製造し、又は輸入した事業者」とされ、個人で輸入した場合が除外されていることだ。

このことは同省が3月19日から4月17日まで実施していたパブリックコメントでも指摘されている。すでに述べたように書面確認は事業者に限らず義務づけされていることから、「労働基準監督署長への報告義務は、なぜ事業者にのみ課されているのか」と疑問を呈し、規制の整合性から「輸入した者も追加すべき」と意見が出されていた。