スマホを修理するドゥアさん。(2021年イドリブ:撮影・ムハンマド・アスマール)

◆スマホは命綱のようなもの

内戦下のシリアの人々にとって、スマートフォンは私たち以上に意味を持つ。以前、現地を取材していた際、ひっきりなしにスマホに見入る人の光景を、あちこちで見かけた。

「友達がフェイスブックにメッセージをくれた。今日も無事でよかった」

「砲撃が激しくなった。逃げる準備をしなくては」

離れ離れになった親戚や友人の安否確認や、近くに迫る戦闘の状況を確認していた。スマホは、命綱のような存在なのだ。

今年4月、シリア北西部イドリブに、新しいスマホ修理店がオープンした。店員も技術スタッフもすべて女性だ。私は地元記者の協力のもと、ネット回線を通して取材した。(取材・構成:玉本英子/アジアプレス、協力:ムハンマド・アル・アスマール

2021年4月にオープンしたスマホ修理店、フラワーテックセンター。20人いるスタッフや技術者もすべて女性。イドリブでイスラム武装組織の影響力が拡大すると、ヒジャブ姿の女性も増えた。(2021年イドリブ:撮影・ムハンマド・アル・アスマール)

これまでスマホ修理に出すたびにスマホのデータを削除していた女性たちの反響は上々。これまでの一般の修理店では、男性店員にデータを覗き見られたり、女性客へのストーカー行為も起きていた。(2021年イドリブ:撮影・ムハンマド・アル・アスマール)

◆避難民の元家庭教師 修理スタッフに

店の名はフラワーテックセンター。壁には花が飾られ、奥の作業部屋には電流計や工具など機器が並ぶ。スタッフは20人。地元団体が、女性の雇用確保のためにプロジェクトを立ち上げ、オープンにこぎつけた。

修理・保守担当のバヤン・ダルドゥーラさん(23)は、以前は家庭教師だったが、爆撃で家が破壊、避難民となり、仕事を失った。2カ月間、修理やプログラミングの研修を受けた。

「厳しい生活のなか、収入の道が開けたうえに、新しいことに挑戦できてうれしい」と話す。

バヤン・ダルドゥーラさん(23歳・左)。「厳しい生活のなか、収入の道が開けたうえ、新しいことに挑戦できてうれしい」と話す。2021年イドリブ:撮影・ムハンマド・アル・アスマール)

バヤンさんは、以前は家庭教師だったが、爆撃で家が破壊され、避難民となり仕事を失った。修理やプログラミングの研修を経て、このスマホ修理店で働き始めた。(2021年イドリブ:撮影・ムハンマド・アル・アスマール)