はちきれんばかりに肥えていた今年4月の金正恩氏(左)と10月公開の写真。労働新聞

 

8月末から1カ月間、韓国に行ってきた。実に1年7カ月ぶり。からっとして爽やかな秋晴れが続いたソウルでは、取材の合間に北朝鮮専門家たちと意見交換の場を何度か持った。

「北朝鮮の内情がほとんど分からず、お手上げだ」

専門家の多くが、こう嘆息した。金正恩政権が新型コロナウイルス流入遮断のために鎖国措置を取っているため、外国との往来がほぼ完全に途絶し、情報が枯渇しているのだ。

意外だったのは、金正恩氏の「激痩せ」に関心が示す専門家が少なくないことだった。健康悪化なのか、ダイエットなのかはっきりしないが、韓国情報当局は、140キロもあった体重が20~30キロ減ったとみている。

研究者の一人からは、北朝鮮国内では指導者の「激痩せ」はどう受け止められているのか? という質問を受けた。曰く、コロナで経済が麻痺し人民が貧窮にあえいでいる中で、ひとり金正恩氏だけが超肥満体でいるのは非常にまずい。民心対策として「国策ダイエット」をしているのではないか、というのである。なるほど、私が気付かなかった視点だった。

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