(参考写真)市場で買い物をする将校。痩せている。2013年8月に恵山市で撮影アジアプレス

 

北朝鮮全域で秋の収穫後の脱穀と乾燥作業が終わり、各地の協同農場では「軍糧米」の引き渡し作業が始まったが、新型コロナウイルスの影響と燃料不足で搬出が困難に陥っていることがわかった。9月以降、将校の家族ですら配給が途絶える事態が続いている。北朝鮮北部に住む取材協力者が11月中旬に調査して伝えてきた。(カン・ジウォン

◆農場からの軍糧米引きすら取り四苦八苦

金正恩政権は、昨年コロナによるパンデミックが発生して以来、軍兵士と一般住民の接触を厳しく統制してきた。集団生活で「3密」が避けられない軍隊でコロナが発生すると、部隊内に一気に蔓延しかねない。そのため兵士と将校は部隊からの外出が厳しく禁じられてきた。

協同農場で生産された軍糧米(コメ以外の穀物を含む)の受け取りは、該当する部隊が車両を準備して農場に出向かなくてはならないが、農場員との接触制限があるため、部隊の雑務を担う「軍労務者」を派遣している。だが人数がまったく不足して作業が遅れている。

やむを得ず兵士を送る場合も業務が円滑に進まないという。人員不足に加えて問題になっているのが燃料不足だ。部隊のトラックを農場に送ることもままならない有り様だという。

北部の両江道(リャンガンド)には「12軍団」が駐屯する。ここに住むアジアプレスの協力者は12軍団の軍糧米の調査を行った。軍人との接触が困難なため軍官(将校)の家族に会って聞き取りをした。以下はその報告である。
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