日本の排他的経済水域に出現した北朝鮮の木造船。2018年8月中旬(海上保安庁提供)

◆漂着ゴミでコロナがうつる?

東海岸最大の漁業拠点である咸鏡北道(ハムギョンプクド)の清津(チョンジン)市。新型コロナウイルスの流入を遮断するという名目で、金正恩政権は昨年早い時期から住民の海岸線への接近を禁止し、漁船の出漁も強く制限してきた。

流れつく漂流物からコロナウイルスが流入する危険性があるというのがその理由だ。荒唐無稽だが、漂着したゴミに触れるのも、浜でワカメを拾うことも禁じられた。漁船の出漁制限は監視が難しい海上で漁民が外国人と接触することを恐れてのことだと思われる。

そのため小型の木造船、鉄船で漁労してきた漁師たちの多くは、現金収入を減らして困窮しコチェビ(浮浪者)同様の暮らしをしていると伝えられていた。

出漁が認められていたのは国営の水産事業所や、党や軍などの機関傘下の水産事業所の中・大型漁船に限られていた。それすらも出港にあたって、乗船人員を制限したうえ、発熱チェックはもちろん、出・帰港時の消毒を徹底、船員が作業で着ていた服のまま市内に入ることも許されなかった。

◆ハタハタ漁期で出漁統制緩和したが…

それが9月頃から徐々に統制が緩和されて小型船も出漁が許されるようになった。「ハタハタの漁期に合わせてのことだった」と、清津市に住む取材協力者は説明する。

ハタハタ漁は11月頃からピークを迎える。経済制裁前には日本にも輸出されていた。晩秋に産卵のため陸地近くに集まってくるため近海でも獲れる。

「個人の船は出港禁止だが、中小の水産事業所にもハタハタ漁での出漁を解禁した。市場の値段が1キロ9000ウォンくらいだったのが、11月になって1800ウォンまで下がった。庶民にとってはありがたかった」
※1円は約42ウォン

ところがである。当局は11月20日に、突然漁港を全面封鎖してしまったのだ。
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