(参考写真)検問所で荷物や通行証をチェックする保衛省の兵士。2013年10月北部地域にて 撮影アジアプレス

<北朝鮮内部>過激化する人民統制(1) 復活した「言葉狩り」の恐怖 たった一言の不満・反発で検挙や追放相次ぐ

北朝鮮北部の両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)市で、外国映画を観たとして、授業中の教室から男子中学生が手錠をかけられて連行される事件があった。関連して20余名が拘束され即決の重刑に処された模様だ。(カン・ジウォン)

◆米国の「サメの映画」か

事件があったのは2021年11月。韓国の北朝鮮専門メディアの「デイリーNK」が11月30日に中学生逮捕の第一報を報じた。アジアプレスで追加調査を行った結果、逮捕されたのは恵山中学校に通う14歳の男子生徒で、4人の取締官が授業中の教室に入り手錠を掛けて連行して行ったことが分かった。

学校に逮捕に赴いたのは「非社会主義・反社会主義掃討作戦連合指揮部」の要員3人と社会安全員(警察官)1人だった。2021年12月末時点で、この事件に連座して、映像を配布・販売した人や、他の中学生合わせて22人が逮捕されたという。

両江道に住む複数の取材協力者の調査によれば、生徒らが観たのは「米国のサメの映画」だという。2018年制作の「メガロドン」か70年代制作の「ジョーズ」の可能性がある。新型コロナウイルス遮断のために中国国境が封鎖されて以来、新作の韓国ドラマの流入が途絶え、数年前に流行った旧作を観たことが発覚したという。

「恵山市では事件の情報が瞬く間に広がり知らない者はいないはず。なぜなら、当局が今回の事件を不法映像視聴処罰の見せしめとすることを決め、機関や企業で講習を開いて事件の経緯と処罰を公にしたからだ」

協力者の一人はこのように伝えてきた。