清水議員は元朝日放送のアナウンサー。知名度生かして2013年7月、兵庫選挙区より参議院議員に初当選。現在2期目。公式ブログより転載。

清水貴之参議院議員が代表を務める「日本維新の会参議院兵庫県第1選挙区支部」が、「文書通信交通滞在費」(「文通費」、現在は調査研究広報滞在費)の支出項目を偽って報告していた可能性が出ている。清水議員の政治団体の政治資金収支報告書、政党交付金使途報告書、日本維新の会が公表している「文通費」使途報告書を照らし合わせた結果、分かった。それだけでなく、清水議員の政治資金収支報告書には辻褄が合わない箇所が複数あった。(フリージャーナリスト・鈴木祐太

◆使途報告書に虚偽記載

清水議員が代表を務める「日本維新の会参議院兵庫県第1選挙区支部」(以下、政党支部)は、2018年、2020年に関して人件費の全てを「政党助成金」で賄っていることが、政党支部の政治資金収支報告書と政党交付金使途報告書の記載から分かる。

これだけならば全く問題ない。

しかし、清水議員の政党支部は、まだ人件費の支出が存在する。それは、日本維新の会が公開している「文通費」使途報告書に記載がある。2018年は110万円、20年度は210万円を政党支部に繰入している。繰入金額の横にある備考欄には「国政活動スタッフ2名」など人件費に充てているのではないかと思われる。これは「人件費」であると解釈するのが普通だろう。

本来であれば、『総人件費(収支報告書の人件費)=(政党助成金の人件費)+(「文通費」の人件費)』でなければならない。全ての人件費の総額は個々の人件費の合計になるはずだ。

しかし、『総人件費(収支報告書の人件費)<(政党助成金の人件費)+(文通費の人件費)』となっているのだ。個々の人件費を足し合わせたものが総額を上回っていることになる。

これは、収支報告書の虚偽記載か、若しくは、政党助成金、あるいは「文通費」の使途報告書の虚偽記載のどちらかだ。

2019年に関しては、人件費の全てを政党助成金で賄っているわけではないが、文通費の人件費を合わせると、やはり総人件費を上回り矛盾が生じる。

この問題について、清水議員の事務所に問い合わせたところ、
「スタッフの給与部分は、政党助成金から捻出しています。文通費で支出したスタッフの費用というのは、スタッフの給料以外にかかる経費、つまりスタッフの通勤をはじめとする活動にかかる諸経費といった費用に充てています」
という回答があった。

この人件費の問題に対して、政治資金問題に詳しい上脇博之神戸学院大学教授は以下のように言及する。

「人件費とは通常、スタッフの給与です。通勤手当を含めることはできますが、それ以外の交通費や駐車場代は人件費には含みません。この点は政治資金規正法でも同じで、人件費には給与や通勤手当は含まれますが、政治活動に要する交通費と駐車場代は含まれないので、交通費と駐車場代は人件費とは別のところに記載しなければなりません。清水議員もこのことはわかっているはずで、矛盾を指摘され困ってしまい、社会的に通用しない言い訳をしたのでしょう」

◆虚偽指摘には「事務的ミス」と回答

政党支部の収支報告書の問題点はそれだけではない。

2019年の収支報告書では、事務所費として156万3738円を計上している。しかし、政党交付金使途報告書では、それを上回る157万4040円をしている。これは明らかに、どちらかが虚偽記載だ。

この問題に対して清水事務所は「収支報告書の額を訂正した際、使途報告書の修正をし忘れてしまった事務的ミス」と回答した。

2020年4月の文通費の政党支部への繰越金が約27万円にも関わらず、その内訳が30万円で「スタッフ2名」となっていた。内訳が、繰越合計を上回ることはあり得ないため、虚偽記載が疑われる。

この記載についても、清水事務所は「収支報告書の額を訂正した際、使途報告書の修正をし忘れてしまった事務的ミス」と回答した。

これらの問題に対して、上脇博之神戸学院大学教授は以下のように指摘する。

「そもそも収支報告書は訂正されていませんでしたから、使途報告書の訂正をし忘れたというのは嘘でしょう。収支報告書や使途報告書は会計帳簿に基づいてそれぞれ記載しないといけないので、会計帳簿に正確に記載していれば、政治資金収支報告書における記載額が政党交付金使途報告書における記載額を上回ることなど起こりえないはずです。『文通費』も会計帳簿を正確に記載していれば、繰越の内訳金額が繰越総額を上回ることなど起こるはずがありませんし、『文通費』の使途報告書に記載した時点で間違いに気づくはずです」

改めて政党支部の2020年収支報告書を確認したところ、事務所費の訂正の日付が「令和4年3月17日」になっていた。清水議員に質問状を出し回答を得たのが1月21日なので、回答を得た日には収支報告書は訂正されていないことになる。

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