(参考写真)中学生たちはコチェビの写真まで撮っていたという。写真は中学生くらいのコチェビの少女が市場の中で練炭の暖を取っている姿。2012年11月両江道恵山市にて 撮影アジアプレス

北朝鮮の中学生の間で、携帯電話端末で撮影した動画や写真を見せ合うことは以前から流行していたが、当局がこれを「非社会主義」行為とみなして厳しい統制に乗り出したことがわかった。9月末には、学校や住民組織に厳重に処罰するよう公式に通知されたという。両江道(リャンガンド)に住む取材協力者が現状を伝えてきた。(カン・ジウォン

事の発端は9月、恵山(ヘサン)市での出来事だったという。協力者は次のように説明する。

「問題が大きくなったのは、新興(シンフン)中学校の生徒が、コチェビ(ホームレス)にパンを与えて格闘技の動作をさせた様子を撮影して、友だち同士で見ていたのがバレたことだ。それで10月に入って『手電話』(携帯電話のこと)での撮影を厳しく統制せよと公式に通達が下りてきた」
※北朝鮮の中学は6年制。上級3年は高校生に当たる。

◆ダンス、キス、ホームレスいじめまで撮影

北朝鮮の携帯電話使用者は600万人程度だと見られる。人口比でいうと約30%。2008年12月に新サービスが始まって以来急速に普及した。人気がある端末はスマートフォン型で、動画撮影やイントラネット(国内に限られたネットワーク環境)に接続可能だ。インターネットとはまったく繋がらない。

さて、北朝鮮の中高生たちの間では、いったいどんな場面を撮影するのが流行っているのだろうか? 協力者は次のように言う。

「以前から中学生や青少年たちの間で、ダンス、キス、化粧、近所の大人の喧嘩、特技動作…回し蹴りやテコンドーの型やレンガ割りなんかや、コチェビをいじめたり、食べ物を与えて踊らせたりするのを撮るのが流行っていた。

『手電話』の学校への持ち込みは禁止だが、こっそり学校で集まって見るのが日課のようになっていた。面白くて珍しい映像を持っていると友達の間で人気が出るのだそうだ。それで子供たちは頑張って撮ろうとするのだ」

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