◆ノザワは石綿含有を否定

分析結果の表記上「0.1%超~5%」の含有とされる。石綿分析は人が顕微鏡で観察しており、国際標準の分析法では10~40倍程度の実体顕微鏡と鉱物学の研究でも使う最大400倍の偏光顕微鏡を組み合わせて石綿の有無を調べる。定性分析で石綿が検出されれば、労働安全衛生法(安衛法)の基準「0.1%」超と判断してよい。

法令ギリギリの含有ということがあるのか分析機関に聞いたところ、3社とも「間違いなく0.1%は超える」と断言した。

上記インストラクターの2社は「(重量の)1%近く入っていてもおかしくない」と口をそろえる。もう1社は「3%くらい入っているかも」と話す。念のためインストラクターの1社にマインマグCを定量分析(JISA1481-4)してもらったところ、「通常は繊維状のものはすべて計数するのですが、熱処理で変異した白石綿を除外しても基準超の0.8%でした」という。つまり実際にはもっと石綿の含有率が高いことになる。

しかも3社は「簡単に石綿が検出される」と口をそろえた。うち1社は「こんなものを肥料として売っているなんて……」と憤慨していた。

ノザワは「製造1時間ごとに焼成後の原料について検査を実施し、肥料造粒のバッチ処理毎に再度検査を実施しておりますが、現在までに、石綿が検出された事例はありません」(リスク対策部法務室)などと回答。筆者が購入した2製品の同ロット(1回の製造単位。約200キロと2022年3月に回答)についても「社内及び外部機関にて分析し、石綿は検出されておりません」(同)などと全否定した。

同社の回答を分析機関3社に伝えると絶句していた。すでに述べたように「簡単に石綿が検出される」からだ。

日環協インストラクターの分析者は「ふつうに調べれば(石綿が)出ると思いますけど。1時間ごとに調べて一度も見つからないっていうのはさすがに……。分散染色でも何回かに1回は引っかかると思う。あえて出ないように分析したんじゃないか」との見解だ。

もう1人のインストラクターは「2人で分析しましたが、10分とかからずあっという間に『ありますよ』っていわれて、『そんなすぐ見つかんの』って驚いたくらい。なにしろ実体顕微鏡、要するにごつい虫眼鏡で簡単に見つかるレベルなんで。それを偏光顕微鏡で見たら石綿でしたと、それくらい簡単に見つかります」と呆れていた。

最後の1社は「偏光顕微鏡では簡単に見つかります。粒のような一見短い白石綿が含まれていてほぐすと長い石綿繊維なんですが、JIS2(簡易分析法の略称)だとアスペクト(直径と太さの)比が3対1以上しか計数しないので(石綿)なしにできます」と分析法の欠陥あるいはそれを意図的に利用した偽装の可能性を指摘した。

日環協インストラクターの1人は建材メーカーで品質管理をした経験から、「品管なんて分析の知識がない人が言われるがままにやるだけ。出たら困るから(石綿が)あるなんて答えはいらないんでしょう」と推測する。

外部の分析機関でも不検出だったことについてもこの分析者は「(石綿の悪徳)除去業といっしょでしょ。グルになってないって結果出せばいいだけ。怖いですね」と語った。

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