(参考写真)村の共同井戸で水を汲んで家路につく女性。燃料代費節約のため沸かさずに飲む人が多い。2015年1月北朝鮮中部地方で撮影「ミンドゥルレ」(アジアプレス)

北朝鮮一帯を覆った1月の大寒波の際、屋外で凍死体が数多く発見されたため、警察当局が住民の居住実態の調査を徹底させていることが分かった。凍死した人たちがコチェビ(ホームレス)、行方不明者、他地域からの流浪者であったため、居住地離脱者を一掃し住民の動向を把握するための措置だという。(カン・ジウォン/石丸次郎

◆困窮して都市生活放棄し流浪

「2月初めから保安署(警察署)が、洞(町)、と人民班を対象に住民の実際の居住状況をチェックしている。理由は1月に屋外のほら穴や農村の畑に置いてあるトウモロコシわらの中で凍死体が相次いで発見されたが、この人たちがコチェビや居住地を離脱した流浪者だったからだ。急遽、住民たちの所在実態を確認することになった」

咸鏡北道(ハムギョンプクド)の茂山(ムサン)郡の取材協力者が2月6日にこのように伝えてきた。
※人民班は末端の行政組織で、地区ごとに20~30世帯で構成。

北朝鮮では新型コロナウイルス・パンデミックが発生した2020年から、国内の人の移動を厳しく統制したが、経済悪化によって現金収入を失い多くの都市住民が困窮、家を売ってホームレスになったり、都市生活を放棄して各地を放浪したり、山中でテントを張って暮らす人が増えていた。

協力者が暮らす茂山郡では、引っ越し、出張、旅行目的で移動して帰ってこなかった者、行方不明者、放浪者などの流動人員を完全になくせという強い指示が出ているという。

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