◆強化された密告システム 「間違っていると思っても口に出せない」

――北朝鮮では自由にものが言えないですね。
今、「流言飛語」や非社会主的現象に対する取り締まりと、「申告体系」が強化されて、人々はますます中央に対する批判を口に出せなくなりました。間違っていると思ってもです。
※住民の発言や素行について相互監視して上部に伝える体系が以前より強化された。政権にとって都合の悪い情報は「流言飛語」=フェイク情報だとみなして、その出処の調査が執拗に行われるようになった。申告する褒美として食糧や現金がもらえるという。

 

――密告システムが強化されたということですね?
申告褒賞制がしっかりできていて、口はあってもまったく話せない、そんな世の中になりました。企業や組織には幹部たちを対象にした「申訴箱」が作ってあって、「生活総話」とは別に、1週間に1度、義務的に個人と組織を批判する体系ができています。

※生活総話とは、すべての職場や学校、女性同盟や青年同盟などの社会団体で、毎土曜日に開かれる行動反省会議のこと。
これは去年の3月から施行中なのですが、申訴箱の内容をもとに検察や市の党と道の党組織から(企業や組織に)調査、検閲に出てくるので、幹部たちの間でも、上について(政権中枢や金正恩氏について)の話は、よく知る人同士でもできなくなりました。お互いに信じられないのです。
※2019年頃から、無記名で個人や幹部を批判、告発する「申訴箱」が企業や組織に常設されようになった。幹部の不正腐敗や問題行動、発言について告発するシステムとして定着している。(了)

※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。

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北朝鮮地図 製作アジアプレス

 

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