◆もっとも具体的な回答は?
そのほかの質問について、自民党はすべて「1に同じ」で、明確に回答しなかった。
公明党は、質問1について因果関係まで含めた補償制度ではなく、あくまで見舞金的な救済制度であり、「今後とも制度を取り巻く事情の変化を注視しつつ、アスベストの被害を受けられた方やご遺族の方に、引き続き適切に救済給付を行っていくことが重要であると考えています」と国の見解そのものといってよい内容だった。ほかの質問にも同様にほぼ政府答弁が繰り返される。
立憲民主党は「救済給付の療養手当について、生活が困窮する場合の増額や労災の遺族補償年金のような仕組み等、すき間のない救済の実現のため、当事者の皆さまの生活実態などを考慮していくべき課題であると考えます」と回答。そのほかの質問に対しても、積極的に改善する意向を示す。
国民民主党は「アスベスト被害者の属性により救済内容に格差が生じない隙間のない救済を実現するため、縦割り行政を排し、情報公開、情報開示の促進、患者・家族をはじめとする関係者の皆さんのご意見を踏まえるとともに、関係者の皆さんの参加を確保しながら、アスベスト対策を総合的に推進します」、日本維新の会は「アスベスト健康被害問題の解決に向けた取り組みや、被害を受けた方が取りこぼされることのない救済の枠組みの構築に向けて、国に対して誠実に向き合うよう強く求めていきます。全ての国民が疾病や障害の有無によって分け隔てされることなく、相互に人格、個性を尊重し合い、共生する社会の実現に向けて全力を尽くしてまいります」といずれも改善に向けて説明した。
ただし、国民と維新もじつは自民党と同様に、すべて同じ回答である。
共産党は質問1に「賛同します。安心して療養できるようにすべきです」と端的な回答。そのほかの質問に対しても、積極的に改善すべきとの見解だ。
れいわ新選組は「今後、『責任』に基づいた『補償給付』を実施し、被害者本人の死亡によって破壊された遺族の生活が回復し安定した生活を取り戻せるように遺族年金を創設するなど労災制度に近づけていくべきです。そして、責任に基づいた補償給付を実施している公害健康被害補償法を念頭に、療養手当を拡充すべきです」ともっとも具体的に見解を示した。ほかの項目でも初回答ながら、非常にしっかりした内容だった。
社民党は「賛同します」「これまで『現行救済制度では不十分』との立場から、遺族年金の制度化・療養手当の支給・基金の創設など多角的な制度改善を求め、被害者・家族の実情に応じた『隙間のない』支援制度の構築などを求めてきましたが、社民党は今後も積極的に取り組んでいきます」と答えた。
質問と回答はそれぞれ以下のとおり。なお、一部国民民主党の回答について同連絡会ウェブサイトに未掲載で、同連絡会に確認したところ、いずれも「1に同じ」だったため補足した。
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