2024年11月にロシア・クルスク州で撮られた、派兵された北朝鮮兵士と推定される戦闘員。アンドレイ・チャプリエン氏のテレグラムから引用

◆想像力の限界、他の選択肢の不在

Q.こうした選択をする根本的な理由は何だと思うか?
大事なのは、彼らの想像力の中に他の選択肢が存在しないということだ。もし別の人生の可能性があれば、葛藤もするし、もっと良い選択もできるだろうけど……それができない。一種の犠牲を強いられる社会だといえる。

 

A氏の分析は、北朝鮮の英雄主義洗脳の核心を突いている。問題は強制ではなく、代案の不在だ。兵士たちは自発的に犠牲を選ぶが、その選択は他の可能性を想像できない閉ざされた認識体系の中で行われているのだ。

◆ロシア派兵は兵士にとっては「チャンス」

Q.もし軍服務中にロシア派兵のチャンスがあったらどうしたと思うか?
もし私が軍務していた時に派兵があったら、絶対に行く。若いうちの軍生活はきつい。食べられない、寝られない、殴られる。そんな状況だから、ちゃんと食べられて、兵営生活じゃない環境なら、100%行くと確信してる。喜んで行ったと思う。

Q.戦場の危険性については考えなかっただろうか?
軍隊の中では、国家が望むことを兵士たちに志願させる雰囲気が作られている。党が望むこと、首領が求めることを繰り返し聞いて洗脳されると、自分もそこに所属したい、その一部になりたいという気持ちになる。もし戦場に行って生きて帰れば英雄だし、犠牲になっても永遠に記憶されると信じる。実際、その効果はすごい。国際社会、そして直接的な武力衝突の可能性があるアメリカや韓国が、この精神メカニズムを理解していなければ、途方もない代償を払うことになるだろう。

 

このような北朝鮮兵士の集団が脅威であることは間違いない。彼らは単に命令に従うだけでなく、犠牲を栄光と信じるよう徹底的に教育された存在だからだ。
次回は、国内の取材力者の報告から、新たな英雄イメージによって、どのような洗脳教育が行われているか報告する。(続く4 >>)

 

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