◆「耐熱布」に石綿含有
10月21日、改めて同社に部品名や部材についての情報開示を求めるとともに、該当部品がどのようなものかを説明することで購入者の特定につながるのであれば、それがどのように起こりうるのか具体的に説明するよう依頼した。
翌22日、同社は「部品名については、車両部品が出回る市場が限定的で、お客さまが購入された部品は希少性もあることから、お客さま特定に繋がる可能性が『ゼロ』ではないため、部品名は開示しない判断としております。また、他のメディア様にも部品名の情報をお出していない現状もご理解いただきたく存じます。申し訳ございません」と三度拒否。
しかし石綿が含まれていたのは「部品内の耐熱布」とようやく明かした。
同社によれば、「耐熱布は別の厚い素材で覆われておりますので、その素材が切断等で破損しない限りはばく露しない状況」という。
もっとも部品の構造などが示されていないため、同社の主張は確認ができない状況である。
そもそも耐熱布は、通常石綿をより合わせて糸をつくり、それを使って布を織る紡織品だ。石綿だけでは糸にしづらいのでポリエステルなどを混ぜており、かつては日本工業規格(JIS)で等級によって含有率80~99%とされていた。摩擦布用の石綿糸には黄銅線も混ぜてあったそうだが、石綿含有率はB等級の80%とされる。
15年ほど前のことになるが、石綿紡織品の製造を一手に担っていた大阪・泉南地域の零細工場主3人から話を聞いた際、JIS等級の規定を説明すると驚かれ、99%の石綿糸は「できるわけない」と笑われた。がんばっても5~10%のポリエステルを入れないと(石綿糸を)製造できなかったというから、摩擦布用の石綿糸は70%程度の含有率だったと考えたほうがよさそうだ。
であれば、いくら分析で結果にバラツキが出るといっても50%を切るなどあり得ない。JR九州が説明する2.4%はさすがに低すぎる。分析時に周辺の(石綿でない)重い部材ごとつぶして含有率を大幅に減らす小細工をした結果なのか、あるいは実際には紡織品ではないのか、現状ではそれ以上の情報がなくはっきりしない。
同社はすでに石綿を含む部品は購入した2人から回収済みで、専門業者に委託して廃棄する方針。






















