JR九州がネットオークションで販売した中古車両部品2つにアスベスト(石綿)が含まれていたと9月末に公表したが、同様の事例は鉄道各社で過去に何度も起きているにもかかわらず、なぜ繰り返されたのだろうか。(井部正之)

◆部材・部品名すら非公表
9月30日同社は、「当社主催のインターネットオークションにて、石綿が含有されている中古車両部品を販売していたことが判明しましたのでお知らせいたします。お客さまには大変ご迷惑をおかけいたしました。再発防止に努めてまいります」と発表。
経緯として、「2025年6月24日、中古車両部品販売に関する社内会議にて、過去インターネットオークションで販売した中古車両部品の一部に石綿が含まれている疑義が生じたため、外部機関に依頼し、調査を行ったところ、石綿が含有されている商品であったことが9月24日に判明しました」と説明。同社のネットオークション「鉄道ショップKKオークション」で2024年9月から2月まで販売した「近郊型電車415系(1978年製造、2024年廃車)の中古車両部品2個」という。
合わせて、「当該中古車両部品に破損はなく、部品内の石綿が飛散する恐れはない状況です」とも記載されていた。
発表資料はこれだけで、該当部品の説明や写真、含まれていた石綿の種類・含有率といった基礎情報すらなかった。
同社にどのような部品なのか確認したところ、「車両部品販売という特性上、公表することによって購入いただいたお客さまが特定される可能性が否定できないため回答を差し控えます」(同社広報部)と拒否。
一方、含まれていた石綿はクリソタイル(白石綿)で、含有率は2.4%と回答した。
飛散しやすい吹き付け材なのか、ブレーキパッドなのかといった情報も尋ねたが、提供されなかった。
同社への取材で若干明らかになったのは、2つの部品はいずれも同じもので、2人が購入。購入部品そのものに石綿は含まれていないが、付属品に使用されていた。しかし塗装なのか、吹き付け材なのかは、再度問い合わせても前出の理由のほか、他メディアにも公表していないと回答拒否だった。
これでは他社の同様の部品を購入した方に知らせて、ばく露などを防ぐためには役に立たない。そもそも個人の特定につながりかねないというのは、よほど特別な事情でもない限り考えられず、納得しがたい回答である。






















