日本の支援を受けた瓦礫再生プロジェクト。ロシア軍の攻撃で破壊された建物の瓦礫を道路舗装や2次建材に再生させる取り組みだ。(2025年4月・ドニプロ・撮影・玉本英子)

◆膨大な瓦礫を破砕し、道路に再生

連日、ミサイルや自爆ドローンの攻撃にさらされるウクライナ各地の都市。破壊された建物の瓦礫は膨大な量にのぼる。それを破砕して、建材に再生させるプロジェクトがある。日本の支援で始まった取り組みをドニプロで取材した。ウクライナへの「日本の支援」の現場を追った連続シリーズ・全3回。(取材・写真:玉本英子・アジアプレス) (2/3)

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ウクライナ・日本友好の桜並木は、このとき開花前。右奥がメチニコフ病院で、昨年、ロシア軍のミサイル攻撃で一部が損壊した。(2025年4月・ドニプロ・撮影・アジアプレス)

ウクライナ第4の都市、ドニプロ。市内の中心部に、小さな桜並木がある。2017年、ウクライナと日本の外交関係樹立25周年を記念して植樹されたものだ。毎年、春になるとピンクの八重桜が花開き、市民に親しまれてきた。そのすぐわきに建つメチニコフ病院は、昨年、ロシア軍のミサイル攻撃で一部が損壊し、負傷者が出た。病院もまた被害を受けている現実がある。

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2023年1月にロシア軍のミサイル攻撃を受けた集合住宅。旧ソ連時代の集合住宅は、5階・9階建てタイプが多い。脆弱な構造の建物もあり、上階にミサイルが炸裂すると、下階まで一気に崩落し、生き埋めになる住民も少なくない。(2023年1月・ドニプロ・ウクライナ・国家非常事態庁DSNS公表写真)
積み上げられたコンクリート壁の瓦礫。すべて攻撃による被害で出たものだ。(2025年4月・ドニプロ・撮影・玉本英子)

攻撃によって破壊される施設や集合住宅。瓦礫の量も膨大だ。これらの瓦礫を破砕して、道路舗装などの再生建材にする取り組みが進められてきた。

ドニプロ市のはずれにある破砕作業現場を訪れた。一面にはコンクリート片が広がる。

市事業体のエデュアルド・メシュコウスキさん(43)は、厳しい顔つきで言った。

「すべてロシア軍の攻撃によるものです。いくら破砕処理しても、毎日、ここに瓦礫が運ばれてくるのです。ドニプロで、どれほどの数の建物が破壊されているかわかるでしょう」

ドニプロ市事業体のメシュコウスキさん。「いくら破砕処理しても、毎日、ここに瓦礫が運ばれてくる」。(2025年4月・ドニプロ・撮影・玉本英子)

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日立建機の圧砕機。コンクリート壁を砕いていく。(2025年4月・ドニプロ・撮影・玉本英子)

ブルドーザーが大きなエンジン音を轟かせ、2メール四方ほどのコンクリート壁の瓦礫を押し出す。それを油圧圧砕機が挟んで割り砕き、処理機械で細かく破砕。ベルトコンベヤーで複数の工程を経て、砂状になる。これが道路舗装や2次再生建材となる。

瓦礫を運ぶコマツのブルドーザー。日本による「ウクライナ緊急復旧計画事業の一環」としてJICAを通じて送られた。(2025年4月・ドニプロ・撮影・玉本英子)
瓦礫再生プロジェクトのもと、作業チームは機器扱いなどの研修を受けた。(2025年4月・ドニプロ・撮影・玉本英子)

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